第96話
サタ様にバター醤油のチャーハンを作った。彼はスプーンで一口食べると瞳を輝かせ、勢いよく食べだした。その隣のアール君は動いてお腹が空いたのか、皿に顔を突っ込んで食べている。
「エルバ、このチャーハンとやら、非常に美味い!」
「コーブラのお肉入りも、美味しいです」
サタ様から追加でコーブラのお肉をもらい、細かく切って、チャーハンに混ぜてみた。昨日食べていたチャーハンも美味しいけど――コーブラ入りは食べ応えが出て、さらに美味しいみたい。
「フフ、喜んでくれてありがとう。私はゲンさんに朝食用のエダマメマメ、コメ草をあげてくるね」
「悪いな」
「はい」
ワイルドポポーのゲンさんは。大きさ、広さ、高さが自由自在の神様仕様のラグマットが気に入ったのか、アール君との戦いのあと、ズッとそこで寛いでいる。
私はエルバの畑を開き、エダマメマメとコメ草を収穫して前に並べた。
「はい、ゲンさんの朝食用のエダマメマメと、コメ草ここに置いたよ」
「エルバ殿、ありがとう。いただく」
モリモリ食べ出したゲンさんを見て、私も朝食のチャーハンを食べよとしたが。フライパンに残していた自分の分がない。
「私の分……」
「あれはエルバの分……だよな」
「サタ様がたべたの? お皿に並々に盛ったあの量を食べてから、残りを食べたの? すごい食欲!」
「チャーハンがあまりにも美味くて、止まらなかった」
いつも気を遣って、私とアール君に自分の分をくれるサタ様が、美味しくて止まらなかった⁉︎
凄く、嬉しい。
「そっか、全然いいよ。サタ様が美味しいって言って、たくさん食べてくれたから、嬉しいかも。アール君もね!」
「よかった。チャーハンはジャロ芋のガレットの上をいく、美味さであった」
「そう? ジャロ芋ガレット、チャーハンも最高だけど。ジャロ芋バターも負けていないかも」
私はアイテムボックスを漁り、前にママからもらったブブベリーのパンの残りを取り出した。次に畑でシュワシュワの実とウメメを収穫して、水筒でウメメのシュワシュワを作る。
「ジャロ芋バターだと?」
「えぇ、ジャロ芋バターも他の料理には負けていません。ジャロ芋ホクホクして、バターとの相性がとても良いんです」
「なに、ホクホク? そんなに美味いのか? ジャロ芋バターは?」
「私はジャロ芋バター好きだよ。魔法都市に戻ったらサタ様にも作るね。はい、ウメメのシュワシュワ」
ブブベリーのパンをかじりながら、コップにウメメのシュワシュワをそそいだ。
朝食後、サタ様の転移魔法でゲンさんを連れて、魔法都市に戻る。場所はウチの庭ではなく、だだっぴろい更地。
その真ん中で、パパとアウドラムパパが相撲をとっていた。
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