第74話

 調合で私は魔力の枯渇を起こした。そうだとすると、使い魔のサタ様、アール君も同じく魔力が枯渇して、この場で眠ってしまったかも。



(ん?)


 お肉が焼ける、いい匂いがする。

 これは焼肉をしているのかな。


 どうやら私より先に目を覚ました、サタ様が私のマジックバッグを漁って、残っていたお肉をコンロで焼いているのだろう。


 ……お腹すいた。


 徐々に覚醒して目を覚ますと、みんなは集まって焼肉をしていた。その中にモサモサ君の姿がない、彼はこの学園の学生だから戻ったのかな? 

 伸びをして体を起こした私の周りに、キャンプ道具が散乱していた。

 

 おう、デジャブ……犯人はサタ様だろう、アール君なら使ってもキチンとしてそう。


 でも、2度目なので何も言いたくないけど……


 犯人のサタ様は薪入れ、テント、洗い物入れ箱など……今は使わないキャンプ道具までアイテムボックスと繋がる、マジックバッグから引っ張り出していた。



「サタ様! いくなんでもキャンプ道具を出しすぎです!」

 


「ん? キャンプ道具? それか……つい面白い道具ばかりで珍しくてな……すまん。だが、アール、ワタシの考えはあっていたな。ワタシとアールが先に回復すればエルバは時期に目を覚ますと」


「はい、さすがサタ様です。エルバ様もこちらに来て、一緒に焼肉をお食べましょう」


「食べたいけど……片付けてからね」

 

 今は使わない道具をマジックバッグに入れようと、動いた私のお腹の上で、十センチくらいの緑色の瓶がプカプカ浮いていた。


「おわっ? なにこれ?」


「あ、それですか? それはエルバ様が調合で作った『解毒薬』です。僕たちでは触れませんでしたので、そのままにさせていただきました」


「これに触れない?」


「うむ、ワタシ達では触れなかった。早くそれをキキに渡してやってくれ」


 わかったと、緑色の瓶に触れると解毒薬が入った瓶は、ポトッとお腹の上に落ちる。その解毒薬の瓶をキキさんに渡した。


「エルバちゃん、ありがとう飲むね」


 彼女は瓶の蓋を取り、一気に解毒薬を飲んだ。

「うっ、うう……マズイ」と、眉をひそめた彼女の体が一瞬、緑色に光る。


「……ううっ」


「キキさん、どう? 毒は解毒できた?」

「どうだ?」

「キキさん?」


 みんながキキを見守る。


「はあ――蘇ったわ!! この解毒薬を飲んだすぐに体の奥に染みこんで、あの毒が霧のように消えていった……久しぶりに体が軽いわ!」


 キキは穏やかな笑みを浮かべた。


「よかった……でも、アマリアさんは『また、ここに来る』と思う。それに対して何か対策をしないと」


(だって、アマリアさんはモサモサ君とのイベントを、自ら起こそうとしているみたいだし。やめなさいって止めたいけど……余り関わりたくないし、関わるのも良くない気がする……どうしたものかな)


「エルバ、考えても仕方あるまい。ここの肉が焼けたぞ」

「ありがとう、サタ様」


 サタ様にもらった、いい焼き加減の飛竜のお肉をパクッと食べる。塩コショウで味付けされたコリコリ食感と、旨味がくせになる――飛竜のお肉いくらでも食べれる。


 卓上コンロで、次々と肉を焼くサタ様は。


「キキ、城にもキバナの木はあると言っただろう? そこから動かなければよいのでは?」


「そうです、このキバナの木に移動しなければ……余り、毒の影響をうけやいのでは?」


『そうかもそれないけど、それはできない』のだと、デザートの改良アップルルをつまみながら、キキさんは言った。


「私は学園を卒業するまで……不運で可哀想なあの子――グルナのそばに居てあげたい……のもあるけど。本音はあの子が作る魔導具がおもしろいの。城では周りが煩くて作れないからって、あの子、よくここで作るの」


 私達に『見て、見て』と、キキさんはたくさんの魔導具が入った箱を見せてくれた。


 

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