第48話

「ママもだけど、ミネルバ様も綺麗」


 笑った顔がキラキラしていた。


「フフ、エルバちゃん、嬉しいことを言ってくれるわね。羨ましい……タスクとカルデアみたいにわたくしも早く子供が欲しい、子育てしてみたい」


 ミネルバ様はサタ様と一緒に、お酒と肉にかぶりつく、エバァさんを見た。見られたエバァさんは困った表情で。

 

「ミネルバちゃん~難しいこと言わない。子供は欲しいけど、こればかりは神に願って、叶わないと授からないよね~」


 魔女と魔族の子供は神に願わないと生まれない。

 ここ魔法都市サングリアで亜人の子供達をはぶくと。魔女、魔法使い、パパ達魔族の子供は私しかいない。


 結婚している人もパパとママ、ミネルバ様の様とすくない――ミネルバ様は庭に膝を折り願った。


「神様、わたくし毎日頑張っています。わたくしのところにも可愛い子供が『時渡り』してきて欲しい……」


 真剣に願うミネルバ様の隣にママが膝を突く。


「大丈夫よ、ミネルバ。毎日、神に願えばきっと願いは叶えてくれる、私たちのときのように……ねぇ、タクス」


「そうだな、カルデア――あの日は喜びと、嬉しさ、驚きで、胸が張り裂けそうだった」


「あの日は一晩中、2人で大泣きしたわね」


 パパとママ、みんなの話を聞いてわかる。

 彼らは私が時渡りをして、2人の元にきたことを知っている。


「カルデア、子供を授かるときって、どんな奇跡なことが起こるの?」


「それはね。タクスと一緒に『願いごとが叶う』夜空の流れ星に、私たちの子供が欲しいと願った……けして、叶わない夢だと思っていたけど、諦めれなかった。あの日、願ったとき流れ星がまばゆく光り、その星のカケラが私達を照らしたの――その、3ヶ月後に私は子供を授かったわ」


「奇跡だった。俺たちの宝物エルバだ」


「時渡りか――ワタシが生まれる前に一度あったと古文書に書かれておった。不思議な力を持ち、人と魔族、あらゆる種族を区別することなく優しく接し……いたわったと」


「僕もその古文書を読みました。とても素敵な人だったようです」


 大昔に私のほかにも『時渡り』した人がいるんだ。

 その人もこの世界を思い存分楽しんだのかな。


 ――私も伝えてしまおう。


「パパ、ママ、サタ様、アール君、みなさんは私が『時渡り』をしてきたと知っているんですね。そうです、私には前世の記憶があります」


 大丈夫、みんななら――話してもみんなは受け入れてくれる。

 

「こことは違う日本という国で、神様の弟子が運転していた軽トラキャンピングカーと接触して……ガードレールを飛び出たとき……願ったんです。『優しい両親、自然とふれあい、のんびりキャンプがしたい』と……神様は私の願いを叶えてくれました。パパ、ママの子供として生まれてこれて嬉しい! パパとママ大好き!」


 2人は私にむけ手を広げた、その胸に飛びついた。


 ――優しく、暖かい。

 

 これは前世もらえなかった暖かさだった。


「うむ、ワタシもエルバの不思議な力を見るのは楽しい。これからも遠慮せず、その力をワタシに見せてほしい」


「僕もエルバ様のおもしろいスキル好きです。昨日はいった露天風呂はとても面白く、気持ちがよかった……また入りたいです」


「白く、臭い、熱い湯だな。あれはじつに気持ちがよかった――体をほぐし、疲れもとれる」


 

「「ろ、露天風呂? 臭いお湯?」」



 みんなはサタ様とアール君が話す、露天風呂にくいついた。

 

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