第210話 問題だらけだった

「申し訳ないが、急遽国へ戻る事になった」


皆でお茶を楽しみながら話をしていると、そう言ってカノープスさんが部屋へと入って来た。


「そうなのか?余程今回の件は不味いって事か」

「.....どうやら第三者の加入で高位貴族の子息達に渡したアミュレットが外された関係で魅了魔法に再度掛かったみたいでな.....ったく、何を考えているやら.....あの聖女の魅了魔法を封印出来れば手っ取り早く問題は無くなるのに.....」


確かに大元の原因を無くせば問題が起きる事も無くなるだろうし、カノープスさんがこうやって休暇を駄目にされることも無くなるだろう。


.....それにしても.....やっぱり聖女って転生者っぽいよね?この世界、どこかの乙女ゲームに被ってるのかなぁ?でも私はやったことのない乙女ゲームっぽいんだよねぇ.....だって師匠を始めとして師匠の家族もだけどカノープスさん達みたいなイケメンが攻略対象に居たら絶体に忘れないでしょ?


「.....まぁその辺は国王としっかり話してみるんだな。どうせ俺達エルフの国はお前達の国には干渉する気はないしな。ただその聖女が此方の国に干渉してきた場合は別だけどな」


しっかりと釘をさす師匠にカノープスさんも溜め息をついた。


「.....わかってる。そもそもそんな事をされたらグレイス王国は地図から消えるしかなくなるだろ?流石に国王もその事は理解しているさ」

「.....だと良いがな」


駄目な前例でもあるのか師匠もカノープスさんも揃って溜め息をつく。グレイス王国の国王ってそんなにダメダメだったんだ.....そうか、そうだよね。私を探す為だけに騎士団動かすぐらいだもんね?何も考えてなさそうな気がする。


「どうしても話が難しくなるようなら私達の所に来たら良いわよ。カノープスだけなら私達もシリウスも大歓迎するわ。前みたいにシリウスとパーティを組むのも良いかもしれないわね!勿論その時はリンも一緒によ」


ミルザムさんがそんなことを言い出して楽しそうに私の方を見た。


「え、私もですか?」

「そうよ。だって冒険者の中には余り良くない人達も居るからリンちゃんひとりだと心配ですもの。シリウス達と一緒なら私も安心だしね」


確かに師匠達と一緒だと安心には違いないだろうなぁ。何と言ってもS級の冒険者なんだし、元ギルドマスターと現賢者で有名人。でも変わりに変なやっかみを買いそうな気がするけど。特に女の人の......。いや、男女関係無しにやっかまれそうな気しかしないんだけど?


私が考え込んでるのを見てミルザムさんが不思議そうにしているのが視界の先に見える。


......まぁ師匠のお母さんだし同じハイエルフだし美形な顔なんて見慣れてる訳だから人の美醜に対する執念なんて理解出来ないんだろうなぁ....理解する必要もないしね。





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