第207話 成功
「え、じゃあどうすればその感覚が掴めますか?」
感覚的な物だから見本があっても難しいかもしれないけど無いよりはましな気がする。
「.....そうだな....」
カノープスさんが少し考えてから私の横にやってくると掌を前方にある的にした木へと向けて挙げる。
「取り敢えずお前にわかりやすいようにやるから、どこでも良いから俺の手に自分の手を触れてみろ」
「あ、はい」
そう言われ取り敢えず差し障りのなさそうな手の甲にそっと手を当ててみる。
「今から魔力を流す.....わかるか?」
「.....わかります.....私が普段使うよりもかなり少ない気がします」
「そうだ。これが俺が通常杖なしで風魔法を使う際に使う魔力量だ。そしてこれが杖を使った場合に使う魔力量」
そう言って一旦止めた魔力が再度掌に向けて流れるのがわかる。
「ああ、はいわかります.....そっか、このぐらいの差で良いんだ.....」
実践して貰うとやっぱりわかりやすい。
「じゃ、一度やってみろ」
「はい」
私は的に向かって杖を構え、さっき教えて貰った魔力量と同等ぐらいの魔力を流し込み風魔法を使う。するとさっきまで安定しなかった風魔法が杖を使わなかった時と同じぐらいの威力で枝に当たりスパッと地面へと落下した。
「やった!」
「お~!やったなぁ。後は属性によっても込める魔力は変わるだろうから、風魔法の魔力を基準に練習すれば問題なく使えるようになるだろ。込める魔力量はさっきのでわかっただろ?」
「はい。やっぱり見本を見せて貰えると全然理解の仕方が違いますね!」
特に私なんて魔法のない世界から来たから余計に感覚がわからないから実地で教えて貰えると理解しやすいのでこれからもお願いしたいところ.....まぁそんなことは言えないけど。
「それにしても想像した通りリンは魔法に特化したタイプだな。普通はいくら同じように教えても一発で成功する奴はまず居ないんだ。それなのにリンは少し魔力の流れを教えたら成功するんだもんなぁ.....宮廷魔導師の奴らの立場がなくなるだろうな!正直あいつらより優秀だ」
ハハハと笑いながらカノープスさんが言うけど、それ笑い事じゃないし。もう少し宮廷魔導師の人達を鍛えた方が良いんじゃないのかな?なんて思ってしまうのは仕方がないと思う。
「じゃあ取り敢えずリンの当分の間の目標は今やった魔力量の調節をしつつ他の属性の魔法も杖を使って使えるようにする事。それが出来たら次は高位魔法を杖を使って問題なく使えるようにするから頑張れよ!」
「.....はい」
うん。カノープスさんは簡単に言うけど流石に高位魔法は一発では無理だと思う。失敗したらやばすぎなんだけど?
.....大丈夫かな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます