第192話 有言実行

翌日からの修行内容は今までと比べるとよりハードになった。



有言実行.....師匠、もう少し手加減して欲しい....



それでもエルフの国に来た当初に比べると体力の消耗がはるかに少なくなり、動ける時間が増えたように感じるのはやっぱり修行の成果が出てるからなんだと思うと努力をすればやっぱり身に付くんだなぁとしみじみと実感した。



基本的に魔法に特化してる私だけど、弓や剣も会得してた方が良いからと順番に教えてくれているけれど、それを全部出来る師匠こそ凄くない?まぁだからこそのSランク級の冒険者なんだろうけど.....。



「.....いや、お前の体力も相当だからな?普通に俺の訓練について来れるだけでも凄いんだぞ。しかもその後に仕事をこなすなんてまず普通の冒険者には無理だから」

「.....え~……?」



なんか私までおかしい判定されたんだけど。



「普通の冒険者はな、まず最初の走り込みで座り込む。その後少しの休憩を挟んで行われる実技訓練で完全に倒れこむんだ。勿論、時間はお前がやってるのと変わらない時間だぞ?お前より年上の男でもそうなるんだからお前がいかに規格外なのかがわかるな」

「ええ~……」


そんなにこっちの冒険者希望の男って体力ないの?まさか本当に私が規格外?



......いや、多分規格外が正しいんだろうなぁ……なんせ女神様直々の転生だからなぁ……



「でも、規格外の能力を持っていてもそれを上手くコントロールして使えなければ意味がないからな。さ、訓練再開だ」

「.....はい」


まぁ確かに師匠の言う事は正しい。正しいけどこの後仕事が控えてるんでほどほどにお願いします!




そして午後から若干筋肉痛になった時みたいにヘロヘロした歩き方をしつつ馬車で城まで送って貰い、仕事場へと向かう。翻訳の仕事は基本的にはずっと座ってするものだから体力的には修行の後でも全く問題なく出来た。



.....それにしても、師匠とはああ話したけど、半年で私の捜索を終わらせるって早いよね?騎士団を派遣してまで私と謁見させようとしていた王公貴族達が理由もなく捜索を打ちきるものかな?何かしらの理由がなければ捜索を打ちきるなんてしないよね?


魔獣を理由にしてたけど.....もしかしたら何か他の理由でもあるんじゃないかな?私を探さなくても良くなった理由が.....



そこまで考えて止まっていた筆を再度動かし始める。



.....まぁ何にしても私には関係がないもんね。ミルトンに住んでる人達や今までに良くしてくれた人達に不利益が行くなら何とかして動く必要もあるかもしれないけど....


カノープスさんからの定期連絡にそんな話しはなかったみたいだから大丈夫かな。



取り敢えず今は実力を付ける為に修行を頑張らないと。何かあった時の為に私も動けるように。







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