第183話 修行開始・2
走り込みが終わればストレッチを軽くこなしていく。余り急激に厳しい訓練を始めても体を痛めるだけで身には着かないのだとか。
いや、これでも結構キツイんですけど??
「いや、エルフの子供に対する訓練はもっと厳しいぞ?」
「え.....?」
師匠が本当なのか嘘なのか判断に困る返答を返してくるからリアクションに若干困るんですけど。
「いや冗談じゃなく、エルフは人より基礎体力が頑丈に出来てる上に弓術に関しては覚えるまで容赦がない。まず弓をしっかり引けるように体力強化は必須なんだ。皆、自分の親からしっかりと習うから余計に容赦がないんだよな」
昔の事を思い出したのか師匠は嫌そうな顔をした。これは相当大変だったに違いない。
「そんな地獄みたいな訓練をお前にする訳にはいかないから、これでもかなり緩くしてるんだぞ?」
「.....ソウデスカ....ワカリマシタ」
一体どんな訓練なのか気にはなるけどここは何も言わないのが吉に違いないと口を噤んだ。
「それが終わったら取り敢えず初日の今日は実技は終了で次は座学だ。リンは普段から本を読んでるから基礎知識は知っているだろうが、本で読むのと実際にやってみるのとは違うだろう?疑問に思ってる事ややりたい事があればこの時間に教えるからどんどん聞いて良いぞ」
「あ、それは嬉しいです!」
そうなんだよね!実際に本を読んでても微妙にニュアンスとかわからない部分が多い。これは魔法を知らない日本人の思考が邪魔をしているのかもしれない。いくらラノベや漫画やアニメとかで知識があったとしても日本人にしたらあくまでもあれは空想上の物。実際に使う立場になってみればやっぱり微妙に違うのだ。もう少し魔法についての知識が深くなればもっと効率よく使えるようになると思うんだよね。
「実技の方は慣れてきたら周回数を増やすからな。まぁ体力が付いてくればどれだけ走っても大丈夫になるから心配するな」
「......エエエ.....」
そこに至るまでにどれだけ掛かることやら。
「でも実際に自己体力を上げて身体強化魔法を使うとかなり違うぞ。実際Sランク級の魔獣すら単身で倒せるようになるからな」
マジですか.....。
「え、じゃあ師匠もですか」
「俺だけじゃなくカノープスも出来るな。アイツは宮廷魔導師だから魔法メインに思われる事が多いが体術もそれなりに強いから接近戦も出来るからなぁ。正直敵には回したくない奴だ」
「へぇ~…...じゃあ私が目指すのは魔法も使えて武器も使える、ってみたいな事ですね?」
「そうだ。俺もそのタイプだから断言出来る。冒険者をする上で攻守共に出来るのは便利だぞ」
「確かに」
そうかぁ、そうだよね。攻守どちらも出来ればソロで冒険者活動してても問題ないもんね。特に私みたいな訳アリ人間だとパーティ組むよりソロの方が何かと便利な場合も多いだろうしねぇ....。
いっそ師匠とかが独立する際にパーティ組んでくれたら更に便利になるのになぁ....なんて思ったり思わなかったり。
ま、修行はまだ始まったばかりだから何年先になるかはわかんないけどね。取り敢えず王公貴族達に邪魔されることなくこの世界をのんびりと暮らせたら良いなとは思うけど。
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