第177話 閑話 シリウスと愉快な仲間達・2
「で?話を戻すけどさ、実際リンちゃんてどうなの?勿論、シリウスが弟子にするぐらいなんだから優秀なんだとは思うけどさ」
今まで散々横道に逸れた会話を率先していたくせに、昔からナシラは良い意味でも悪い意味でも妙に感が良い。
「確かにあれだけ弟子入り志願者を叩きのめしてたシリウスが弟子にするぐらいだもんな。相当実力があるか将来性があるかだよな?」
「だよね。恐らくエルフの国中が興味津々なんじゃないか?」
.....余程最近娯楽に飢えているのかもしれない。たかが俺が弟子を連れて戻って来たぐらいで何故そこまで話題になるのか.....
「.....カノープスが直々に弟子にしたいって言うぐらいには潜在能力が高い」
「マジか!?」
「カノープスまでがそんな事言うぐらいすごいんだ!?」
「そりゃあそれだけ有望ならお前も弟子にしたがる訳だな」
こいつらもカノープスとは今でも友人関係を築いているから賢者と呼ばれるようになったカノープスの実力は嫌と言う程知っている。
「でもそれならカノープスがお前の弟子にするのを反対しなかったのか?」
ラスは疑問に思ったのかそう聞いてくる。カノープスの性格を知っていたら当然の疑問だろう。アイツは自分がこうだと思ったら他人の意見を余り聞かないからな。
「まぁ.....思うところはあるんだろうけど、今の宮廷魔導師と賢者の肩書きがリンに取ってはちょっと困る原因になるから今弟子にするのは諦めたんだろう。師匠は何人居ても良い訳だしほとぼりが冷めた後でも問題ないんだろうな」
「ああ、人の国の王公貴族達が問題なのか.....つまり、国が抱え込みに入るぐらいには既に優秀な戦力になる訳だ」
ラスの確信めいた指摘に頷いた。どうせコイツらには嘘も建前も通じない。ならばリンを守る壁のひとつになって貰った方が余程良い。一応エルフの国王にもお願いはしたから大丈夫だと思うが。
「だから急にギルマス辞めてリンちゃんを弟子にしてエルフの国に戻って来たのか。確かにこの国に居れば人は手を出せないからな」
「それが一番の理由だが修行は一度基礎からちゃんとやらせたいと思ってたからな。あいつ、知識は豊富なんだが実践が全く伴ってないんだよ....だから何て言うかマニュアルを見ながら忠実に再現してるみたいな戦闘方法なんだ....もう少し臨機応変に動けるようにしてやらないとって思ってなぁ.....」
確かに知識は必要で重要だ。けれども実践が少なければそれは机上の空論のままで、臨機応変が求められる魔獣との戦闘ではマニュアル通りにしていては大怪我をしてしまう可能性だって出てくるだろう。
「そうなのか。じゃあさ、今度俺達と一緒に依頼受けないか?リンちゃんに合わせて簡単に出来そうな物でさ」
タウとイオタがそんな提案をしてくる。
「それは構わないが」
「可愛い後輩を助けるのは師匠だけじゃなくて冒険者の先輩にも良い経験になるしな!今後の後輩の育成の仕方の練習にもなるし」
「そうそう!あとシリウスがどんなふうに師匠してるか気になるし」
.....多分それが本音だろう。まぁ俺以外の冒険者視点からの意見があれば役立つだろうしな.....
タウとイオタだけでなく、ラスも同行したいと言い出し結局ここにいるメンバー全員が一緒に参加する事になって冒険者ギルドの受付を悩ませたのは数日後の事だった。
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