第160話 師匠の実家にお邪魔しました・2
屋敷の中に入った私達を案内してくれたのは昔から師匠の屋敷で働いてくれていると言う執事さんだった。何でも先代からのお付き合いなのだとか。うん、いくつなんだろう?と少しだけ思ってしまう。
案内されたのはサロンでソファに座ると直ぐ様メイドさんがお茶の準備をしてくれた。
「.....エルフの国にも執事さんやメイドさんが居ることに吃驚しました」
「ああ....まぁそうだな....ただ王公貴族の数が人の国よりは少ないから数としてはそんなに多くはないかな。ただし、普通の執事やメイドじゃないからな?」
師匠が苦笑しながらそう説明してくれる。
「それはどう言う....?」
「有事の際には戦闘員に早変わり出来るぐらいには強いって事だな」
「....そ、それは.....」
闘うメイドさんと言うやつですか!?しかも師匠の実家のメイドさん、メイド服がクラッシックタイプでロング丈だから凄い私の好みなんですけど!?やっぱりメイド服はミニよりロングだよね!うんうん。
『リン....お前な....』
黎明が呆れた顔で私を見る。何よ~メイド服のスカート丈は重要なんだからね!ミニも確かに可愛いけど私はロングが好きなんだから仕方ないでしょ!?個人の好みよ!
『いや何も言ってないが?』
『視線が物語ってるからね、黎明』
そんな私にやれやれと言った様子で黎明がその場から姿を消した。どうやら分が悪いと思ったようだ。まぁ....聖獣にメイドのスカートの長さを力説する私も大概だと自分でも思うけど。
そうこうしてると、ドアがノックされ身形の良い男女2人が入室して来た。
「良く帰って来てくれたわね、シリウス。お帰りなさい」
「うむ、暫くぶりだな。元気そうでなによりだ」
2人ともニコニコしながら私達の前のソファに座った。師匠よりも少しだけ年上な感じのする2人のエルフで中々に好感の持てそうな穏和な感じの2人に見える。
「まぁ!貴女がリンちゃんね。シリウスからの手紙で聞いているわ!ふふふ。可愛いわね!」
女性の方が身を乗り出しながら私を見て嬉しそうに笑みを浮かべる。えっと....この女性は誰だろう?師匠のお姉さんとか?いやまてよ....エルフだから....
「ふふふ。初めまして、私はシリウスの母親のミルザムと言うの。宜しくね」
しれっと正解を自ら言い出した。けど母親かぁ....うん、やっぱりエルフって意味不明な若さだよね。姉弟って言っても良いぐらいの見た目なんだけど....。
「は、はい!リンと言います。宜しくお願いします」
「ふふふ。そんなに緊張しなくても大丈夫よ。ね、あなた」
「そうだな。私はシリウスの父でアダラと言う。シリウスから虐められたら私達に気軽に告げ口をすると良い」
「父さん....俺はそんな事はしませんよ....人聞きの悪い」
「そうか?昔は.....」
「あー!あー!弟子の前で何を話す気ですか!?」
恐らく私に聞かれると不味い話でもしそうになった父親の話を遮ろうとしているのだろう。今まで余り見た事のない師匠の姿に呆気に取られつつ、やっぱり実家に帰って来てるから多少気を抜いているんだろうなと理解する。
まぁでも弟子に小さい頃のヤンチャ話を聞かれるのは恥ずかしいよねぇ……。
私はそんな師匠と師匠のお父さんとの遣り取りを苦笑しながら見ていたのだった。
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