第151話 バレッタの街・2
バレッタの街の冒険者ギルドに到着した私達は道中の森の中で狩った魔獣を売却する為に案内された解体場へと向かう。丁度ギルドの受付から真裏にあるみたいで、見た感じではミルトンのギルドの解体場よりはかなりこじんまりとはしていた。
.....ギルドの建物自体がミルトンのギルドより小さいから仕方ないんだろうなぁ....
キョロキョロと視線を向け周囲を確認していると案内をしてくれた解体場の担当のおじさんが師匠に魔獣を出す場所を指定していた。
「じゃあここに出してくれるか?因みに何の魔獣だ?」
「そうだな....オオカミ系が多いが熊と、オークも居たか?リン」
「えーっと.....オークは夕食にして食べたのでないですね」
聞かれて無限収納を確認すればオークは既に自分達で解体して夕食の肉になっていた事を思い出す。
「ああ、そうだったな」
師匠もどうやら思い出したようでオオカミ達を大量にマジックバッグから取り出しながら頷いた。
あれって確か師匠が食べたいから解体して食べようって言ったんだよね?
そして私もマジックバッグから出す振りをして無限収納から火熊を取り出す。実は火熊はまだ買取りして貰ってなかったんだよね....本当に急遽ミルトンの街を去る事になったから。
「これで全部かな?」
「....そうですね!私の方も大丈夫です」
大量に出された魔獣の死体に流石に解体場のおじさん達も呆気に取られた表情をしている。
「おいおい....こりゃまた大量に狩ったもんだな。流石にこの量を今日中には無理だぞ?買取精算は明日でも構わないか?」
「明日の午前中でも?」
「それなら問題ない。昼頃までにギルドに来てくれたら用意はしておくよ」
師匠は頷いて私を連れて解体場を後にし、そのままギルドを出ていこうとした私達を呼び止める声が聞こえてきた。
「シリウス!」
「カストル」
師匠が名前を呼ぶと言う事はそれなりにお互い見知った関係の人物なんだろう。50歳ぐらいの男性で茶髪に目も茶色の極普通の人って感じのイメージ。
「リン、この人はこのバレッタの街の冒険者ギルドのギルドマスターだ。カストル、此方が俺の弟子のリンだ」
「シリウスから話は聞いているよ。良かったら少し話をしないか?買取精算はどうやら明日になるみたいだし、少しぐらいなら構わないだろう?」
そう言われてチラッと師匠を見れば小さく頷いたので私は了承の返事をし、ギルドマスターの執務室へと師匠の二人でお邪魔することにした。
執務室へ入ると、以前師匠が使っていたミルトンのギルドの執務よりも少しモノトーンな感じでさっぱりとしている。これは使用する人の好みなんだろうな。
「.....机の上に書類の束がない....」
師匠の執務室へと入った時には必ず机の上に山積みされていた書類の束がこの部屋の机の上にはなかったのだ。
「はははっ!シリウスは昔から書類仕事を最後に残すタイプだったからなぁ……最後にはちゃんと終わらせるから問題はなかったんだが、出来るなら早くやれば良いのにって他のギルマス達からも言われてたよ」
大声で笑うカストルギルドマスターに、師匠は苦笑いを浮かべる。
「カストル!....それで用件はなんだ?」
自分の分が悪いと思ったのかあからさまに話を反らそうとする師匠の態度に私とカストルギルドマスターが苦笑しながらもソファへと座り話を始めた。
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