第135話 戻って来ました

王都のスタンピードの緊急依頼から転移陣で要塞都市ミルトンへと戻ってきた私を含む冒険者達はその足で冒険者ギルドにて緊急依頼の依頼達成処理をして貰う為に窓口へと並んだ。勿論私はギルドマスターの執務室へと強制連行となり、執務室でマリッサさんに対応して貰う事になった。何故なら報酬額が他の冒険者よりかなり高額になるのと無駄に騒ぎにならない為なのだそう。


.....確かに自分達高ランクの冒険者よりCランクの私が高額の依頼達成料を貰ったとなったら要らない騒ぎになりそうだもんね....


その辺りを考慮してくれるのは流石ギルドマスターと言うところだろうか?


「リンちゃん、口座の残金は今すぐ確認出来るけどどうする?」

「いえ、今は良いです」


マリッサさんが私に金額を確認するか聞いてくるけど急いでる訳ではないのでそう答えたらギルドマスターから、せっかく今確認出来るのだからしておけと言われてしまった。


「今だけじゃなく、報酬額はすぐに確認する癖をつけておいた方が良いぞ。ここのギルドにはそんな職員は居ないが金額を誤魔化して少なく入金したりする手口が流行しているギルドもあるんだ....情けない事にな」

「ええー………そんな冒険者ギルドあるんですか?」

「あるのよねぇ.....でも仮にされても、その場で指摘しないとお金が戻らない場合もあるのよ。だから冒険者は報酬が出たらその場で必ず確認する事が大事なのよ」


異世界でもそんな詐欺紛いの事する人がいるんだ....しかもギルド職員って.....横領では?


「その場で確認しない方が悪いって言われて終わりだな」

「んん~……何か納得出来ないような何と言うか」

「まぁこのギルドでは絶対にないから、他領や他国に行った時は必ず確認を忘れないようにしろよ?」

「はい.....」


ギルドマスターの注意に素直に頷く。そうかぁ.....そんな事をするギルド職員さんも居るんだなぁ。この街のギルド職員さんが良い人達ばかりだからそんな事一切考えてなかったけど.....。うん、他の街に行った時には気をつけないとね。


「....それにしても私の事を外してどうやって王様に納得させたんですか?」

「ん?ああ。そりゃあ勿論カノープスに全部ひっかぶって貰ったに決まってるだろ?」

「え?」


スタンピードの第2団の魔獣の殲滅は大規模な魔術を用いたものだ。あの場所にいた高ランク冒険者もしっかり目にしていただろう。広範囲の結界魔法2つに広範囲の殲滅魔術。一人では絶対に無理なのは誰が見てもわかる筈だ。


「リン、賢者の名称は伊達じゃないんだぞ?カノープスが全部やりました、って言えば信用されるぐらいにはな。それだけ賢者は簡単になれるものじゃないんだよ。だからその者の口から出た言葉は信用されるんだ」

「え~…………」

「つまり極端な話、黒を白と言っても賢者の言葉なら皆信じるって訳だ。特に今回は実際に全ての魔獣が殲滅されてるしな。だからリンが心配する必要はないよ」

「....それなら良いんですけど」


もし私のせいでカノープスさんに何か不利になる状況だったら少しだけ悪いなって思うんだよね。


.....少しだけだけど.....


「まぁカノープスなら多少何かあっても自身で解決出来るさ。それだけの力と地位を持ってるからな」

「....そうですね」


そうだよね。大人だし、宮廷魔導師団団長だし、賢者だしね!



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