第86話 黎明と街中を散策・2
お肉は食べない。
野菜や果物は食べられる。
基本は魔力が主食。
「じゃあ甘いお菓子とかはどうなの?」
『甘いお菓子とは何だ?』
お菓子を見た事がないのか、
「えーっとね....」
私は無限収納に入れていたお菓子を取り出す。お菓子と言うと少し違うのだが....。少し前にハーマル商会で見つけた小豆を煮てあんこを作っていたのだ。それをどら焼き風に焼いたパンケーキに挟み、なんちゃってどら焼き風パンケーキを作り置きしたのだ。そうしておけば依頼で外に出た際に軽食代わりに食べる事も出きるし、急に甘いものが食べたくなった時に直ぐに食べられるからだ。
この世界、食文化が発展しているように思えるのに甘い食べ物、つまりお菓子やデザートに関しては殆ど発展していないんだよね?何でかなぁ??
「あ、これこれ」
目的のどら焼き風パンケーキを取り出して
『....何やら甘い匂いがするな?これがお菓子と言う物か?』
「うん。どら焼き風パンケーキって言うんだけと甘くした生地を焼いて、中に小豆って言う豆を甘く煮詰めたあんこって物を挟んでるの。美味しいよ。食べれそう?」
『....そうだな....肉が入っていなければ大丈夫だと思うが....食べてみても構わないのか?』
「良いよ。食べられなかったら残しても構わないからね」
好き嫌いと食べられないは違うから、食べられない物を無理に食べる必要はないだろう。
『ふむ.....む!』
パクリとどら焼き風パンケーキにかぶりつくと同時に一切の動きを止めた。
え?何??
全く身動きをしないので、側で見てるとまるで精巧に出来た人形みたいに見えるから若干怖いんですけど??
「れ....
『お.....』
「お?」
『美味しいぞ主っ!!こんなに美味しいモノは食べた事がない!!』
「そ、そう。それは良かったね」
余りの勢いで一気に食べてしまい、チラチラッと私の顔を伺うようにチラ見してくる
「余り沢山甘いものを食べると身体には良くないからあと2つだけね」
どら焼き風パンケーキは、普通のどら焼きよりも小さい為、2つなら良いだろうと無限収納から取り出してやると嬉しそうな顔をして今度はゆっくりと食べていく。早食いするとすぐに無くなってしまうとわかったからだろう。
聖獣の意外な好物と一面を知りつつ、私も自分の肉まんもどきを頬張るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます