第62話 シーダーの街・4

「リンさんには沢山購入して頂きましてありがとうございます」

「いえ!また何かありましたら宜しくお願いします」


お互いニコニコ笑ってハーマル商会を後にする。思っていた以上の収穫に、懐は痛いが気分は最高に良い。あれから隅から隅までは流石に時間がないので流れ作業的に歩きながら棚を眺めた結果、新しい調味料もゲットした。それは異世界産の味醂にお酢だ。お酢があればマヨネーズも作れるね!異世界転生あるあるだわ!!


まぁ私が楽しむ為だけに作るんだけど。ここ重要ポイントだから!必要があれば広めても良いとは思うけど、今のところその必要性を感じないもの。


「ん~、結局ハーマル商会しか行けなかった.....お腹空いたし晩御飯どうしようかな?取り敢えず宿に行ってみようかな?」


もしかしたら皆帰ってるかも知れないしね。


そう思い、今夜の宿の " 緑の森亭 " へと向かう。ここから近いのも有りがたいなぁ~なんて思いながらも歩いて行くと森をデフォルメした感じの絵の看板が見える。


「すみません、ハーマル商会から部屋を用意してると聞いて来たんですけど....他の皆はもう戻ってますか?」


宿屋に入り、入り口のカウンターで尋ねると優しそうな女の人が部屋を案内してくれた。既に女性陣は2人とも戻って来てるが、男性陣はまだとの事だった。


案内された部屋に入ればアイラさんとセーラさんが床に座ってお茶を飲んでいたが、戻ってきた私に気がついた。


「おかえり~リンちゃん」

「おかえりなさい、リンちゃん」

「ただいま....です」


何だかちょっとくすぐったい気がしてムズムズする。


「御二人とも帰ってくるの早かったんですね」

「まぁね、この街には何度も来てるからどこに何があるのかを把握してるしね!」

「私も杖の簡易点検だけなのですぐに終わってしまうから。他に欲しい物もないし」


どうやら2人はこの街にはそれなりに複数回来ているらしい。護衛依頼でだろうか。


「リンちゃんはどこ行ってたの?ハーマル商会を見るとは言ってたけど他にはどこか行った?」


私の分のお茶を入れてテーブルに置いてくれるセーラさんもアイラさんの問い掛けに頷いてくる。


「いえ....結局ハーマル商会を見るだけで終わってしまって.....。だって凄く商品があるんですよ!あれは何時間あっても全部は見てまわれないですよ」

「そうねぇ....。ハーマル商会の品揃えはこのシーダーの街一番だものねぇ」


この街で一番大きいのか......そりゃ時間が掛かる筈だわ~


「リンちゃん夕食は食べて来た?」

「いえまだです。皆さんどうするのかと思って取り敢えず宿に来たんです」


宿に先に来た本来の目的を思い出す。


「じゃあ宿の食堂で一緒に食べない?ここの宿の食事、美味しいのよ~」

「食べます!」


美味しい物ならば是非とも!!


部屋を出て1階に降りると階段から食堂が見え、かなりの人が入っているのが見える。その様子に本当にこの食堂は人気があるのだなと実感したのだった。




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