第60話 シーダーの街・2

シーダーの街に着いたのはまだ陽が明るい内だった。要塞都市であるミルトンとは違い、シーダーの街の入り口は門と塀は有るものの、そこまで高さがあるわけではなく、ミルトンの半分ぐらいの高さぐらいしかないように思えた。あくまでも魔獣等の外敵用に造られた物であり、対人用な感じではないように感じた。まぁ魔獣に対して有効なら人相手でも問題ないと思うけどね。


街への入場には門で身分証を確認されるが、商人達は馬車が隊列を組んでいる事が多いので入場門は一般の人とは別になっている。ロベルトさんがハーマル商会代表で通行証を見せるとしばらくして通行の許可が降り、馬車が順番に街へと入って行く。


「商隊は人数が多いから全員をチェックするのに時間が掛かるでしょ?だから事前に商会側が通行証を準備しておくの。勿論それで街に入った人が街中で問題を起こせば商会の責任になるわ。だからこそ通行証が信用されるのよ」


そうなのか......。何か問題が起きても、その人物を連れて来た商会側が責任を負うなら良いでしょうって......商会側にとって利があるのかないのか微妙な気もするけどそれだけ信用されてるって判断で商会側も利用してるって事なのかな?まぁ今回は比較的少ない人数の商隊だから良いけど、もっと大きな商隊だったらそれこそ大人数になるから1人1人調べるのは大変だもんね....。


歩いているとハーマル商会に着いたのか馬車がゆっくりと止まり商会の入り口から従業員が出て来てロベルトさんと何やら会話をし、再び店の中へと入って行くと、ロベルトさんは今度はアレンやダレス達と話をしている。


「きっと帰りの護衛の打ち合わせだと思うわ」

「恐らく集合時間の確認ね」


セーラとアイラが私に教えてくれた。そっか、私達への依頼はあくまでもシーダーの街までの往復の護衛だけ。ここから荷物の出し入れはロベルトさん達ハーマル商会の従業員達の仕事だ。


話が終わったのか、アレン達が此方に向かってくるのをアイラが手を上げる。


「帰りは?」

「2日後の朝、行きと同じ時刻に商会の前に集合になったよ。ハーマル商会の店から右4件目の" 緑の森亭 "にロベルトさんが2部屋宿を取ってくれている」

「男女で1部屋ずつで宿屋の人に言えば部屋に案内してくれるって!」

「流石ハーマル商会だな」


アレンとノインとダレンが今夜の宿屋を教えてくれるが、依頼を出した商会が護衛の分の宿代を出すのは極々希で、基本的には依頼料に必要経費は含まれているので街に付けば自分達で探さないといけないのだとか。


そうなのか.....じゃあもし今後ハーマル商会以外からの護衛依頼を受けた場合は自分で準備する事を忘れないようにしないとね.....


「俺達はこの後武器屋に行くがお前達はどうする?宿屋に行くのか?」

「ん~そうねぇ.....私は買い物に行くわ、ここでしか買えない物の買い足しとかもしておきたいしね。セーラも行く?」

「私は魔道具店へ行くつもりよ。杖を点検して貰いたいから」


そして皆の顔が私の方を一斉に見る。期待に答えたいが.....


「私は食材のお店をみたいので....取り敢えずハーマル商会に」


目の前の入り口を指差して笑みを浮かべた。




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