第56話 護衛依頼・3

お互いに自己紹介が終わるとギルドの食堂へと誘われて着いていく。丁度朝御飯がまだだったので朝の定食を頼む。蒼天の牙のメンバーは朝御飯は既に済んでいるようで飲み物だけを頼んでいた。


「マリッサから聞いてるんだけどリンちゃんは今回初めての護衛依頼でランクアップの為なのよね?」

「そうです。昨日マリッサさんからDランクへのランクアップには護衛依頼を1回受けないといけないと聞いて今回の依頼を薦められました」


それを聞いてリーダーであるアレンがそうか、と頷いた。


「なら護衛依頼がどういった感じの物かも詳しくないんだな?」

「.....そうですね、護衛をするのもされるのも経験がないので」


メントスの街に行くためにギルドマスターが着いて来てくれたのは普通の護衛とは違う気がするからあれは除外しても良いわよね?


ふとそう思ったが気にしない事にした。


「そうか、じゃあ簡単に今回の護衛依頼の内容を説明するが.....今回の依頼はハーマル商会と言うミルトンの街では1番大きな商会からの依頼で、ミルトンと隣接するシーダーの街にある支店までの距離を往復護衛する依頼になる」

「ちなみにシーダーの街までは何事もなければ片道1日程で着くわ」


アイラがアレンの説明に付け足して教えてくれる。片道1日で往復で2日か。まぁ何もなければが前提みたいだけど。


「片道1日と考えて、往復で2日。シーダーの街でハーマル商会が荷物の手配の準備に2日と今のところは聞いてる。その間は俺達は自由時間になるから街の観光をしても良いし、シーダーの街で簡単な依頼を受けるのでも構わない。出発までにハーマル商会に来れば問題ない」

「....意外と自由なんですね?」

「そうだな、でも護衛依頼は大抵こんな物だと考えて良い。護衛依頼で1番大事なのは街道を進んでいる最中に襲ってくるかもしれない魔獣や盗賊対策だ」

「盗賊」


そうか、確かに異世界ラノベでも冒険者には盗賊の討伐が付き物だったよねぇ.....


「リンは対人討伐の経験はないよね?人相手だから初めては結構キツいんだよね....精神的に」


自分が初めて盗賊達に手をかけた時の事でも思い出しているのだろうか?ノインが何とも言えない表情をする。


まぁでも私の場合は精神的にどうとかはない気がする。スキルに精神異常耐性があったからなー。

ただ精神的にどうもならなくても、やっぱり盗賊だったとしても意識して人を殺すのには抵抗があるかもね。その時になってみないとわからないけど......。


「それはもう盗賊が出ない事を祈るしかないな。運が良ければ問題なくシーダーの街に予定通りに着くだろう」


最終的な配置等は当日にならないと決められないそうなので、その後も少し話をしてから護衛依頼に備えて各自準備をする為に解散となったのだった。







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