第55話 護衛依頼・2
翌日、いつもより早くに起きてギルドへと向かうと思わず部屋に戻りたくなるような人の多さにウンザリしそうになる。けれどそれだとせっかく早起きした事が全て無駄になるので何とか思い止まり目的の人物達を探してみる。
昨日あれからマリッサさんに詳しく" 蒼天の牙 "と言う冒険者パーティの事を尋ねたら、現在は5人組のパーティでリーダーは青い髪で大剣を背中に背負ってる背の高い人物だそう。凄く目立つからすぐにわかるとの事だった。
「あ」
キョロキョロとギルド内を見渡してみれば確かに目立つ集団が掲示板から少し離れた場所に立っていた。目当ての依頼書を探してる感じはしないのだが何かしらの目的があってこんなに朝早くからギルドに来ているんだろうか?
まぁ良いか、それよりもせっかく見つけたんだから挨拶をして人となりを確かめておきますかー。
トコトコと人混みの中を上手く避けて歩き、目的の人物達へと近づいていくと、私に気がついたのかメンバーの内の魔法使いの女性が此方に視線を向けてきた。
「もしかして貴女、リンさん?」
「はい、そうです」
魔法使いの女性の声に他のメンバーも此方を振り返る。
おお.....美男美女のパーティだなぁ......
" 蒼天の牙"のメンバーは見た感じ大剣、弓、斧、魔法使い、治癒師の5人からなるパーティの様だ。
「ギルド職員のマリッサから護衛依頼の補充冒険者に貴女を選んだから宜しくね、って頼まれたのよ。容姿を聞いてたから直ぐにわかったわ!マリッサの言う通り可愛いわね」
何故私がわかったのかと思えばマリッサさん.....知らせておいてくれるのは有り難いけど、どんな言い方したのかな!?
「リンです。今回の護衛依頼に同行させて貰う事になりましたので宜しくお願いします」
ここは素直に下手に出ておこう。無駄に問題を起こすつもりもないんだしね。
「宜しくな。俺が一応リーダーのアレンで大剣使いだ」
「俺はダレスで斧使いだ」
「僕は弓使いでノインだよ」
「私は治癒師のセーラ」
「そして私が魔法使いのアイラよ!宜しくね」
自己紹介をされ、中々にバランスの取れたパーティだなと感心する。
「リンさん、リンちゃんと呼んでも良いかしら?」
「はい。構いませんアイラさん」
「ありがとう!リンちゃんは何が得意なのかしら?知っていれば護衛をする際に誰をどの位置に配置するかを決めるのに判断しやすいでしょ?」
確かにそれは一理あると思う。得手不得手で配置バランスを考えて置けば万が一何かしらの問題が起きても対処しやすくなるだろう。
「そうですね。私は魔法が得意です」
「あら、私と同じね!」
フフフとアイラさんが嬉しそうな顔をする。
「なら、アイラが前衛、リンちゃんを後衛にして私と組めば良いと思うわ」
「それも良いわねセーラ」
「おいおい、まだ商会から最終案を聞いてないんだから今決めるなよ?」
2人の会話を聞いていたアレンが注意するが2人の中では既に決定のようだった。
そんな蒼天の牙のメンバーを見て、マリッサさんが急であるにも関わらず私に今回のランクアップの為の護衛依頼を薦めて来た理由が何となくわかる気がした。
確かにこの冒険者パーティとなら問題なく一緒に行動出来そうだ.....。
マリッサのギルド職員としての能力に感嘆するリンだった。
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