第26話 ギルドマスター・4
「そう言う訳でリンが納得出来る処分になっていないかもしれないが申し訳ない」
そう言って頭を下げてくるギルドマスターにこれ以上求めるのは違うだろうし、今後の彼らの行動によっては自滅する可能性もあるのだからまぁ私がとやかく言うべきではないと思う。正直、私に災難が振り掛からなければ彼らがどうなろうと私の知ったことではない。
「私は全く気にしないのでそれで問題ないです」
「......そうか」
明らかにホッとするギルドマスターに苦笑する。それにしても日本で読んだり観たりしてたエルフのイメージと、ギルドマスターのイメージが全く違うんだが?
見た目は確かにエルフらしく美丈夫で年齢不詳。 最初に見た時30~40歳代かと思ったけど確実に違うだろうし、特に性格が大雑把な感じ過ぎない?私の中ではエルフってもっと寡黙なイメージだったんだけど......。
「ん?どうかしたか」
「いえ......私のイメージしてたエルフとギルドマスターが違いすぎてちょっと......」
「あ~……お前の言いたい事は理解した。俺はエルフの里じゃなく人族の中で育ったから特殊だと思ってくれたら良い。普通のエルフの里で育った奴らならお前が想像してるエルフに近いんじゃないか?」
「そうなんですか?じゃあ他のエルフにいつか会えるのを楽しみにしてます」
そうか、育つ環境によってはエルフでもかなり個性が出るんだな。まぁ当然か、人間だってそうだものね。
「じゃあ話はそれだけだ。今日はここに呼んで悪かったな」
「いえどうせギルドに用事があった次いでですし」
「依頼か?遅めに来たら良いのはないだろ?」
ギルドマスターが立ち上がったので、私も部屋を出る為に立ち上がり世間話を続ける。
「そうですね。でも薬草採取なんかはありますし、最悪どうしてもお金が必要なら魔獣を狩って素材を売れば良いかな、と思って......」
「......お前それは新人冒険者のセリフじゃないぞ。職員から聞いてたお前のイメージと今のお前のイメージが全く違うんだが?」
きっとギルドマスターが聞いていた私のイメージは大人しそう、礼儀正しそうな子供とかかな?冒険者登録に行った時は最初だし人の居る異世界生活にまだ慣れてなかったから大人しくし様子見してたから余計にそう見えてたんだろう。
「初めての街なので猫被ってました。まぁでも大人しくしてても絡まれると理解したので自重するのを辞めたんですよ」
ニッコリと笑顔で言ってやったら、ギルドマスター一瞬呆れた表情を見せ、大きく溜め息をついた。
「......程ほどにしとけよ?」
「はい!」
ポンポンと頭を叩かれ、何気にその雰囲気が心地よく感じたのはギルドマスターには内緒だ。
その後、1階に戻り薬草採取の依頼を窓口でマリッサさんに受理して貰い、冒険者ギルドを後にしたのだった。
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