第23話 ギルドマスター・1
翌日も朝からギルドに依頼の確認に行く。朝一は依頼書の争奪戦になるとギルド職員のお姉さんに教えて貰ったので、少しだけ時間をずらして行く。
ギルド内に入れば案の定、朝一の争奪戦を勝ち抜けた割りの良い依頼を受けれた冒険者達は既におらず、それなりに依頼書の貼り出されたボードも見易くやっていた。
良い依頼は残ってないだろうけど、ランク上げるには地道にやらなきゃ仕方ないもんね。
そう思ってボードに向かおうとすると受付のお姉さんに声を掛けられた。
「あ、リンさん!」
「はい、何かご用ですか?」
呼ばれた窓口のお姉さんのところに行けば、昨日の依頼達成処理と告げ口をしたお姉さんだった。
「あのね、昨日のゴブリンの件なんだけどギルドマスターが直接貴女にお話と結果を報告したいそうなの。申し訳ないんだけど良いかしら?」
それって良いも悪いも私には選択の余地はないのでは?
私が直ぐに返事をせずにいると職員のお姉さんが困った表情を見せている。
......ギルドマスターの指名なら仕方ないか......流石にここでギルドのトップに睨まれる訳にもいかないもんね
「わかりました。今からですか?」
「ええ。ギルドマスターからは貴女がギルドに来たら教えてくれって言われてるのよ......本当に御免なさいね」
「いえ、お姉さんのせいではないので」
謝ってくるお姉さんにニッコリと笑みを浮かべる。怒ってないよアピールは一応しておこう、うん。
職員のお姉さんに連れられて階段を上って2階のギルドマスターの執務室へと案内された。
コンコンとドアをノックしてから職員のお姉さんが扉を開けギルドマスターに声を掛け中へと促される。
「ギルドマスター、お話してたリンさんがいらっしゃいましたよ!」
「あ?ああ、来たか」
そう言って書類の山から顔を出したのは30代後半から40代ぐらいの金髪細マッチョ美丈夫だった。いや違う!問題はそこじゃない。耳!長い!もしかしてエルフ!?うわ~エルフだよ!!初めて生で見ちゃったよ~!!
私が驚いた顔をしてるとギルドマスターが立ち上がり私の前まで歩いてくる。
「君がリンか?」
「あ、はい。そうです」
「俺はミルトンの冒険者ギルドのギルドマスターをしてるシリウスだ.....ふむ。もしかしてエルフを見るのは初めてなのか?かなり驚いてるみたいだな」
そんなに顔に出てただろうか......思わず顔が赤くなり、火照った頬を両手で隠してしまう。
「そ、そうですね。見るのは初めてですね......」
「ふっ、そうしてると普通の子供にしか見えないんだがなぁ」
ギルドマスターが何やら楽しそうに此方を見下ろしてくるが何がそんなに楽しいのだろうかと不思議に思う。
いや、私子供ですし。姿はだけど......。でも不味いことしたかなとか、恥ずかしいことしたかなって思ったら誰でも顔に出るわよね!
「......子供ですから」
「それもそうだな。ああ、君を呼んだのは昨日のゴブリンの件と、その前の件もだ。先ずは座ってくれ。マリッサ、お茶を」
「わかりました」
おお......受付のお姉さんの名前はマリッサさんと言うのか......覚えておこう
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