第13話 銀亭・3

気が付けば朝になっていた。


どうやらお風呂に入った後、ベッドに寝転がっていたらいつの間にか寝てしまっていたらしい。

自分で感じるよりも身体は疲れていたようだ。


そして顔を洗う時になって初めて自分の今の姿をマジマジとじっくり見た。身長は多分日本でなら標準的な高さだと思うけど此方ではどうかな?


顔?顔は完璧美少女だったわー。


自分でも吃驚したぐらい。銀髪に紫紺の瞳のパッチリお目めにピンクの唇。


能力だけじゃなくまさかの顔面チートまで。

まぁただまだ10歳の子供なので将来的に有望な段階かな。


自分の全身観察を堪能した後は昨日と同じようなパンツスタイルの服に着替えて部屋を出る。流石に夜ご飯を食べていないのでお腹が空いた。


階段を降りると食堂には宿泊者全員ではないだろうけど、それなりの人数の人が朝食を食べに来ていてサラサが世話しなく動いていた。


「あ、リンさんおはようございます。朝食にします?」

「おはようございます。はい、今大丈夫ですか?」

「勿論大丈夫ですよ~」


階段を降りる私に気が付いたサラサが声をかけてくれたので頷くと、大丈夫だと言って空いてる席に案内してくれた。


朝食はセットメニューだけのようで宿泊客全員が同じものを食べることになってるそうだ。確かに色んなメニューがあったら朝から大変だもんね。


「お待たせしました。ゆっくり食べていってね!」


朝食メニューはパンにサラダにミルクと、メインは野菜がたっぷり入った具沢山スープで、スプーンで1口口にしてみると味はあっさりめだけど優しい味の大変美味しいスープだった。


「......美味しい」


思わず口に出して言ってしまうぐらいには美味しい。凄くシンプルなんだけどそのシンプルな味が逆にハマってしまうと言うか。


「そうでしょう?父さんの料理はこの街一番なのよ」


私の呟きが聞こえていたのだろう。サラサが嬉しそうに話しかけてくる。周囲を見渡せばどうやらお客さんも一段落した様子だった。


「元冒険者でしたよね?」

「ええ、そうよ。冒険者を引退してからこの宿屋を始めて料理もやり始めたと聞いたわ」


それでこの料理の腕なら確かに凄いと思う。相当努力はしただろうけど元々料理の才能はあったんだろう。


「それは凄いですね」

「......ふふふっ、父さんの料理を気に入ってくれる人が増えたのは嬉しいわ。ここは昼はやってないけど、夜は食堂としてやってるから良ければ食べに来てね。お酒も出してるから酔っぱらいも多いけどね」


夜は所謂居酒屋メニュー的な物も提供されるらしいのでそれは確かに1度は食べてみたいと思う。


大変満足に朝食を食べ終えた私は一旦部屋へと戻り、冒険者ギルドへ行く為に宿を出たのだった。






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