第12話 銀亭・2

そう、トイレ。


なんとこの世界、水洗トイレなのだ。清潔好きな日本人からしたらそれは凄くすごーく有難い事なんだけど、誰がこの世界で考案したのか。もしかして過去に私と同じように異世界転生を果たした日本人が居たのかもしれない。これもラノベあるあるだよね!!


いつか私のような転生者がいれば会ってみたいな。まぁ元彼の糞男みたいな奴でなければの話だけど。


あ~でも先人様ありがとうございます!


そしてお風呂。シャワーと浴槽がちゃんとある。しかもユニットバスじゃないところが有難い!私、ユニットバス苦手だったんだよね~。何か、狭い空間の中で浴槽のすぐ真横にトイレがあるってのが嫌で......日本に住んでた時は旅行に行く際のホテルもユニットバスじゃないホテルを探して予約してたよね~


しみじみと思い出しながらもお風呂場を観察する。壁にはパネルみたいな物があり、何やら赤い石のような物が3つ嵌め込まれている。


「何々?えーっと、シャワーに浴槽、温度調節?」


石の下にはそれぞれそう書いてあるがそれだけでは意味不明である。おそらくこれだけでこの国の人はわかるんだろうけど私には無理だ。


「あ、そう言えば私鑑定のスキル持ってたわ」


自分のステータスを思い出し慌てて鑑定してみると、パネルの使用方法がわかった。鑑定様々である。


「シャワーを使いたい時は左側の魔石に、浴槽に湯を貯めたい時は真ん中の魔石に、それぞれのお湯の温度を調節したい時は右側の魔石に触れれば良いのか。1度触れたら次に触れるまでそのままなのね。じゃあ試しに真ん中を......あ!出た出た!!凄い、お湯が出てる~!」


出てきた湯は丁度良い湯加減で調節する事なくそのまま貯める事にした。


「それにしてもこの魔石って、やっぱり便利グッズなんだ」


異世界転生モノにはつきものの魔石は、この世界でも普通に使用されているようで、倒した魔物から取れる物。

属性毎に魔力を込め使用されるそうで。お風呂は水を沸かして使う為、火の魔石が通常使われるそうだ。ちなみに水はトイレと同じ原理で水の魔石を利用してて、火の魔石を起動させたら同時に水を出すように魔道具で設定していると鑑定さんは言っていた。


うん、その辺りは意味がわからないので異世界あるあるとしてスルーしておこう......いつか生活に余裕が出来たら魔道具の事も勉強出来れば良いなとは思う。


5分程でお湯は貯まったので、念願のお風呂タイムに入る。着替えは勿論無限収納から取り出し、洗面台の籠に置いておく。


「はぁ~きもちいい~」


温かいお湯に浸かりながら、至福の時とはこうゆう時の事だろうなぁ~なんて考えながら久しぶりに感じるお風呂を心置き無く堪能したのだった。



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