第10話 冒険者ギルド・2
「まずSランクの冒険者自体が現在世界でも数が少ないですし、緊急要請が入るのが大抵国からの依頼になりますので王都にいる方が便利になりますからね」
「へぇ......そうなんですね」
「では次にギルドカードの説明ですが、此方はリンさんが希望されたように身分証の代わりになります。これがあればギルドのある国全ての通行が可能になります。また、依頼内容によっては依頼料も高額になってますので口座を作ればギルドでお金を預けたり引き出したりも出来ます。これはどの国のギルドでも可能になりますので作られる方は多いです。リンさんはどうされますか?」
所謂銀行的なものだよね。確かにどこの国に居ても出し入れ出来るのは便利だよね......。
「じゃあ、お願いします」
「わかりました」
お姉さんはもう一度ギルドカードを手にして何やら機械で登録していく。
「あの、その機械で登録をしてるんですか?」
「あら?もしかして魔道具を見たことがないのかしら」
「はい。住んでいた所がかなり田舎だったもので.....」
「そうなのね。これは冒険者達の個人データをギルドカードに記録させる為の魔道具なの。こうして手元の端末に登録用紙に記入して貰ったデータを打ち込むとカードに記録されるようになっているのよ」
へぇ......
「凄いですね」
「そうね、これを作った魔道具職人は凄いと思うわ。はい、じゃあこれがリンさんのカードなります。紛失したら再発行は出来るけど手数料に銀貨1枚掛かるので気をつけて下さい」
「......再発行手数料、高いんですね.....」
「安いと失くしてもすぐ発行出来るからって大事にしない冒険者が多くて改定されたんです」
お姉さんは困った顔を向ける。この世界にもやっぱりそんな馬鹿な事する人が多いのかぁ......。
「わかりました、気を付けます。あの、これ街に入る時に貰った仮の身分証なんですけど」
「はい、確かにお預かりしますね」
お姉さんは身分証を受け取ると、隣の棚の箱の中へと入れた。きっと纏めて返却するんだろうな。
「あの、あとまだ宿が決まってないんですけどお薦めの宿とかありますか?出来れば安くてお風呂がついてたりすると嬉しいんですけど.....」
安いところだとお風呂は厳しいかなぁ......
「......そうですねぇ、安さ重視で探すとお風呂が付いている宿はほぼないんですよ.....今の時間だと空いているかわかりませんが、ギルドを出て真っ直ぐ行った突き当たりを左に曲がったところに「銀亭」と言う冒険者に人気の宿があります。比較的安くてお風呂もついている宿として人気なんですよ」
「へぇ......」
それは是非とも泊まりたい。もし空いていてなければそこで他ねお薦めの宿を聞けばいいわよね。同業者ならよくわかってるだろうし。
「わかりました、取り敢えず行ってみますね。ありがとうございました」
ニッコリと愛想笑いをしてギルドを出る。悪い印象より良い印象を与えておいた方が今後のこの街での生活に有利に働く事もあるかもしれないしね。ちょっと打算的かもしれないけど子供の私がこれから1人で全く知らない異世界で生活をしていかないといけないんだし......まぁ問題ないよね!
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