第7話 要塞都市ミルトン
遠くからみても大きな門は近くから見たらもっと大きかった。
結局迷わしの森の出口から門までゆっくり歩いていけば途中からは本来の馬車道に出たようで、同じように門に向かって歩く人や馬車に着いていくように歩いた。体感的には30分ぐらいだろうか。門が近くに見えたのはそれだけこの要塞都市ミルトンの入場門が大きいからなのだろう。
入り口には恐らく騎士団の人だろうか?制服だろう黒に銀のラインが入った軍服のような服を着用し腰に帯剣している。
うんカッコイイよね!制服!
どうやら馬車用と人用に別れているようなので私も他の人に着いていき列に並ぶ。並びながら騎士の人達を見ると何やら水晶玉のような物が台の上に置いてあり、入場者が1人ずつ手を置いている。
あれが犯罪者の有無を確認する水晶玉なんだ......
水晶玉は特に反応すること無くスムーズに次から次へと街への入場許可が降りていく。そしてついに私の番になった。
「お嬢ちゃんひとりかい?」
水晶玉の前に立った私をみて、少し年配そうな騎士の人が聞いてきた。
「はい。両親が亡くなったので村から出てきました」
取り敢えずそう言う設定にした。無理のない設定にしておかないと必ずどこかでボロが出てしまうし、あながち両親が居ないのは事実なので嘘ではない。
「そうか......身分証はあるかい?」
「いえ......凄く田舎の村から出てきたので持ってなくて......持ってないと街には入れないんですか?」
「いや、銅貨1枚で仮の身分証を発行できる。有効期限は街に入ってから3日間だが......お金は持ってるか?」
「大丈夫です。はい、銅貨1枚です」
騎士の人は仮の身分証の見本を見せながら丁寧に説明してくれる。子供だからと言って軽く扱わないのが好感を持てる。
「冒険者ギルドに登録しようと思ってます。ギルドカードが身分証になると聞いて......」
「お嬢ちゃんがかい?......そうか、だが無理な依頼は受けるんじゃないぞ。命あっての冒険者だからな」
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ水晶玉に触ってくれるか?犯罪歴があれば赤く光る」
言われた通りにゆっくりと水晶玉に両手を乗せるが当然何の反応もしない。
「よし、大丈夫だな。じゃあこれが仮の身分証だ。冒険者ギルドでギルドカードを発行してもらったら窓口で仮の身分証を渡すと良い。回収してくれる。じゃあ頑張るんだぞ」
「ありがとうございます」
最後まで丁寧に対応してくれた騎士さんに御礼を言って街の中へと1歩踏み出せば、街の中は溢れんばかりの人波と熱気で圧倒されそうになる。
ここが要塞都市ミルトン。
これから私の生活拠点になるであろう街。
目指すは悠々自適な異世界ライフって事で、取り敢えず冒険者ギルドに行ってみますか!
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