2章 髪飾りの君と蝶
1 舞い上がる
授業が終わり、放課後。
(うう……)
本来なら本屋で立ち読みして、雑貨屋でかわいいものを眺めて、コンビニで新商品のスイーツを買って帰る予定が、英語の補習で全てパーだ。
これもそれも、英語の宿題を忘れた小奈津が悪いのだが。
英語の先生が小奈津の進捗状況を見にくる。
「できたか?」
「まだです!」
「そっちは?」
先生の視線の先には
なぜか冬木も小奈津と同じ、英語の宿題を忘れて補習を受けている。
冬木はまじめでしっかり者だから宿題を忘れるなんてありえないと思ったから、冬木が宿題を忘れたと告白した時はかなり驚いた。珍しいことがあるものだ、と。
小奈津と冬木、二人しかいない教室でお互い黙々と補習の課題をこなしていた。
宿題を忘れた自分を恨みながら小奈津は着々と補習の課題を片付け、終わる頃には夕日が窓から差し込んでいた。
「んー! 終わった!」
小奈津は椅子の背もたれにかかり、大きく伸びをする。冬木もちょうど終わったようで、先生に補習の成果が詰まったノートを渡している。
「お腹すいたー!」
頭を使ったのでとにかく糖分が欲しかった。それ故に出た叫びだったのだが。
「どこか行く?」
その声が冬木のものだと理解するのに少し時間がかかった。
「今、なんて?」
「お腹すいたなら、ケーキでも食べに行く?」
小奈津は首がもげるかと思うくらい、首を縦に振る。
「じゃ、帰ろう」
冬木は帰り支度をする。
小奈津は浮き足立つ気持ちを抑えながら、荷物を雑にまとめた。
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