33、護衛は就活へ-木の枝
腰を上げたミリーの日程に、課外活動制度をはめ、表向きは就職活動にした。
不正防止でその活動報告を学園に提出しなきゃいけない問題があるから、一軒でも就活しなくてはいけなくなった。
そこはギルマスが提案と手回ししてくれた。
リリーと一緒に、王宮侍女、王宮従者への就業体験を受けてしまえと。
てなことで、2日の護衛任務を終わらせたあと、もうひと仕事増えた。
内心ワクワクの護衛任務の道中。
残念ながら、テンプレも何も起こらず、普通に同世代と野外キャンプを楽しんだ。
残念ではあるが、あっちでもこっちでも同世代とだけの、キャンプは初めて。
なので、これはこれでいい思い出となった。
王宮に着き、三人で統括侍長の部屋に通されることになっていたが、そこに着くまでにすでにバタバタと慌ただしい。
そして、すぐ通されるはずが、統括侍長室の控えに通された。
そこで聞こえるのは、王宮って大変ね、な状態。
「……に……を運び、あちらのものは……に」
「……を……に運ぶように」
「……がいらっしゃるまでに……」
「…………………………」
統括侍長室に何人もの人が慌ただしく出入りし、統括侍長がアレコレと指示を出している様子。
「なんか、すげー」
「来てはいけない時に来てしまったようね」
「……二人とも来るから、立ち上がって」
人の気配に忠告すると、三人で背筋を伸ばし立ち上がった。
「……良い心掛けです、座りなさい」
戸を開けた年嵩な侍女に開口一番でお褒めを貰えた。
「早速ですが、本日は人手を要します。三人にはすぐに現場に出て頂きますので、即座に着替えを申し付けます。新人研修に長けている三人を各自付けますので、多少のミスはその者達が助力します。貴方方に求めるものは、笑顔です。分かりましたね」
「はい」
アンの返事の後に二人も「はい」と続けた。
着替えを渡され、ギルだけ部屋を変えて着替えると、タイミング良くノックの音。
「はい、大丈夫です」
キリッとした侍女、従者が三人入ってきて、挨拶そこそこに各自別々の仕事に駆り出された。
「……アン。クノクット チューニッヒです。呼び名は先輩と、貴方は今日限りですが、それでも他から見ればれっきとした王宮従者です。どんな時でも笑顔で背筋を伸ばして仕事をするように」
「かしこまりました」
「……よろしい。簡単に説明すると………………」
今日は、企画されていた王宮騎士団の剣武会と王宮魔道師による魔術披露会が開催される日だということ。
そこへ隣国へ嫁いだ王女が、マタニティーブルーで帰省したら、隣国王子が浮気ではないかと追い掛けてきたとのこと。
しかも、急遽開催されることになった王宮主催お茶会。
本来であれば、剣武会と魔術披露会のみであったが、二つも増えてしまい、木の枝でも借りたいほどのこと。
木の枝でも借りたいというのは、木の魔物トレントでも借りたい、日本で言う猫の手でもと、借りれないが借りたいときに使うことわざだ。
なので、木の枝(トレント)になりに働くことになった。
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