12、噴水と星

学園での学業も疎かにせず、着々と冒険者になる準備を始めている。

戦闘面での不安解消に、シェルに稽古をつけてもらい、着実にレベルアップをはかる。

そして、16歳になった今日、はれて冒険者登録出来る日だ。

この世界には、15歳がプレ大人として社交会への参加許可され、16歳から正式に大人と判断される。

冒険者登録や保証人なしの就職なども、16歳から可能。

ちなみに酒、タバコ、親の保証なしの婚姻など19歳からなっている。

誕生日でほぼ一年の差が生まれてしまうが、この世界のシステムがそうなのだから仕方がない。


「シェル、ようやく登録できるわ」

「そうですね。アン様、この世界の冒険者制度に、2つ階級制度があるのはご存知でしょうか?」

「知らないわ、教えて」

「まずは、職業冒険功労階級。最上位は1級、これは勇者等と呼ばれていますが、現在は誰もいません。勇者と呼ばれる者が必要ない安全な時代とも言えます。ついでにの2級も勇者時点ですが、保有者なしです。3級は、何人かおりますが、昔の大戦での功労として3級を与えられたらしく、今は高齢により高齢者枠と言われてます。4級は、権力枠とも言われ、各地の王や権力者がこぞって抱えの実力者を入れたがります。階級は7級まで、権力者の独自の基準で付けているので、詳しくはよく分かりません。この階級制度には、噴水階級という別称が付いています」

「噴水?」

「枠(湧く)だけの階級だからです」

「あららっ……シェルはそっちじゃないのね」

侮蔑たっぷりな紹介に笑ってしまった。

「そちらには属しておりません。冒険者ギルドの三つ星階級です」

「シンプルね」

「正式には一つの星に5個の区切りがあるので、全部で15星になり、私は9星です」

すっと、差し出されたカードに、色なし星、塗り潰された星、そして一欠片分塗り潰しのない星が並んでいる。

「へぇー、結構細かいわね15枠もあるなんて。10星にならない理由は?」

「10星からはギルド本部にて昇級試験を受けなくてはいけないのが面倒なので、受けてません」

「ふーん、噴水と星とで、力量の差は?」

「あちらも星と比べられ負けたら恥なので、一応は実力者は揃っています。星が貴族のお抱えになると星を捨てるようですし」

「なら、星の利点は?」

「登録に血の契約を使いますが、私のような孤児でも登録可能の完全実力主義です」

「へぇー、なら星ね」

「そうおっしゃると思いまして、書類等の登録は既に完了してますので、ギルドに赴き血の契約だけで登録完了となります」

「あら、余計な手間は省いてくれたの、さすがだわ」

ということでもう半分は、星の冒険者になっていた。

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