なるほど、儲けてますなあ。

 ちゅどーんという音の後、キノコ雲が上がる光景。

 非現実的すぎて、ギャグにしかならないな。


 ちょっと早まったかもしれない。

 教会の吹き飛んだ上の部分に、電子基板が備蓄されてたらどうしよう。


 とはいえ、いまさら後悔してもしょうがないな、ガハハ!

 R18Gのお中元となった 、まだちょっと湯気の上がるハムの山を乗り越え、俺は教会へ向かった。


 しかしあれだな、核爆弾が炸裂した後の放射能とか気になるから、エルフも含め、ここには誰も立ち入らんようにした方が良いのでは?

 立ち入ったら死ぬ呪いがあるとか、そういう伝説を残した方が良いかもしれん。


 もー、あの核手榴弾が、中にどれだけやばいものを詰めてたのかわからんが、本来ならこの首都全体が出入り禁止、あらゆるものの持ち出し禁止といった封鎖をされるべきなんだけど……。


 まあ、現実問題、被害を受けるのはオーマの蛮族だけなので、まあいっか。

 瓦礫の山を押しのけて教会に入った俺は、瓦礫の山と、爆発の巻き添えを食らった坊主の死体だらけの聖堂を見る。


 ――なるほど、儲けてますなあ。


 文明が崩壊した後だというのに、キンキラキンの装飾と豪華な敷物。木材で作られたそこら辺のベンチや家具なんかも、芸能人のお宅訪問で見かけそうな、豪華な細工で、まあ!お高いんでしょう?って感じだ。


 よくもまあ、蓄財ちくざいに励んだものだ。この辺は人目に付く部分だから、多分旧世界の物品は雰囲気的に置いてる感じではないな。

 となると、ありがちなのは……地下だな。


 俺は教会の奥の方に進んで、地下に降りる入り口を探す。

 石の階段を下りた先には、なんとも現代的な貨物リフトがあった。


 教えはどうなってんだよ教えは!

 いや、カリスト教は別に機械を否定してなかったな。


 リフトを降りた先、貨物エリアには、俺が見慣れた文明の産物が大量にあった。


 テレビ、パソコン、スマホ、ラジオ、時計、デカイものだと遊園地の看板みたいなものまである。おお、ずいぶん集めてんじゃないの。


 発掘地の情報が欲しかったが、ここの備蓄だけでも十分すぎるな。

 見た感じからして、エルフの里の地下墓の秘密教会、あれの4倍以上の量がある。大体、イーグルステップくん4機分にはなるんじゃない?


 そうだ、なにか取引の記録みたいなのはないか?

 取引の記録から、オーマと電子基板を取引している連中の情報が欲しい。

 もしかしたらこの蛮族より、よっぽどまともな連中かもしれないからだ。

 まあ、この時代の文字が、まだ俺にも読めるかどうかという問題はあるが……。

 

 倉庫の隅っこに紙と巻物のある、なんか中世的な書斎?みたいなものがある。ここに何か手掛かりがないだろうか。


 いくつかの帳面を開いてみてみる。

 うーむ、形状と大きさで、ざっくばらんに分類しているようだ。

 ちゃんとした鑑定はあっち任せっていう感じなのか?


 取引記録を見ると、大体どういう経緯でここにテレビやラジオが集められたのか?それがわかった。


 カリスト教会は、どうやらダンジョンに潜った冒険者たちから、こういった旧世界の異物を二束三文で買い叩いて、それをラメリカに流して大儲けしていたようだ。

 全く生臭坊主ってのは、何時の時代でも、ひどいことするね。


 つい勢いあまって、キノコ雲で消滅させてしまったが、天罰てきめん、そういうことにしておこう。


 あの教父とか言うやつ、どう考えても話が通じそうになかったからな。

 ぶっちゃけこういう、帳面や記録とお話していた方がまだマシだ。


 ぐるぐるの巻物は何だろうな、いくつか開いてあらためてみよう。

 ふぅーむ、テレビやラジオ何かの絵が描いてあるな?

 どうやらラメリカの連中は、この絵を渡して、コレを集めてこいと指示したのだろう。いちいち説明するよりわかりやすい。いいアイデアだ。


 これは俺が頂いて行こう。蛮族騎士共や、ポトポトのエルフ達に、収集してもらいたいモノを、割と正確に伝えられる。


 後は……世界地図じゃないか!これはいいぞ!

 俺の知っている世界地図と大分似通っている。

 ちょっと地形が変わっているが、大量破壊兵器や環境破壊によるものか、それともただ単に製図が下手くそなのか、ちょっと判別がつかないな。


 なるほど……

 神聖オーマ帝国を中心とすると、東に「ムンゴル帝国」

 南は「イギニス連合王国」。そして北に「目本国」か。

 「ラメリカ合衆国」は、その目本を超えた、さらに西にあるようだな。


 よし、最終的な目標はラメリカ合衆国と、コンタクトを取ることだろうか?

 ひとまず必要なものを全部食うか持ち出して、ここを去ることとしよう。

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