立てば極道、歩く姿は構成員

 立てば極道、座ればヤンキー、歩く姿は構成員。

 誰の事かって?我らがポトポト王、ミリアさんの事だ。

  今の彼女は例えるならそんな感じだ。

 

 俺たちはオーマの首都でキノコ雲をブチ上げ、更にムンゴルをさんざんに打ち破った。


 その光景を見た神聖オーマ帝国の貴族達は、機人の軍門に下る以外生き延びる道はないと確信したのだろう。

 割合あっさりと、冒険者たちが発掘した遺物、それと引き換えに本領安堵を申し出て来た。


 そんな貴族連中に対して、ミリアは「ほ~ぉ?いい御身分ですね~~~?」といって、連中の顎肉をタプタプしていた。


 あんまりにも態度がでかすぎて、固定資産税がかかるんじゃないか?と思ったわ。


 とはいえ、エルフが人間にやられたことを考えれば、寛大すぎる処置だ。

 まあ、皆殺しにしようとしたって、資源的リソースも、時間的リソースも足らないけどね。

 ウチには内政を疎かにして、そんなことしてる余裕が無いのである。


 さて、ポトポトに戻った俺たちは変わり果てたその姿に唖然とすることになった。

 壁の4つの角に設けられたのは、見事な監視塔。なんということでしょう。


 蛮族騎士やるじゃん。さすが道徳以外のクオリティには定評のある連中だ。


「ほーん、ヒトブタの癖にやりますねぇ!」


「……うむ、期待以上に仕上げてくれたな。」


 トラックと一緒に帰ってきた俺たちを出迎えた、元聖ヨワネ騎士のケムラー。 

 そしてその小脇にいるのは、ちっちゃい女の子???んん??ロリ?そっちの犯罪にまで手を出したか。


 ちっちゃい女の子がケムラーの隣りにいる。分厚い手袋とエプロン。

 それに黒いガラスのはまったゴーグルを、ネックレスみたいに首に提げている。

 ぱっと見の印象は、健康が形をとったみたいな、そんな頑健そうな印象を持たせる赤いショートヘアの少女だ。


「ハッ!帰還を心待ちしておりました、機人殿!」


「……その脇にいるものは何者か?」


「エルフの居住地のうわさを聞き付けた、ドワーフの氏族にござる。オーマ侵略のどさくさで、ムンゴルの※くびきからのがれ、ここに辿り着いたとの次第。」


※軛(くびき)荷台やらを牛とか馬にひかせる時、首に付ける拘束具。つまり、牛馬くらいの扱いでピシパシ働かされているという事。


 ――ほう!オッサンのドワーフといえば、男女ヒゲモジャで、その区別がほぼつかない、そういった割と古めの由緒正しいドワーフ像を持っている、レトロゲーマーなのだが……。


「機人さんッス?うちはローニィ一家、その長女のロイっす!よろしくっス!」


 胸は抑えめだが、尻と太腿はしっかりしている。ふむぅ。

 ホットパンツからはちきれんばかりの白い太腿に、赤みのかかった滑らかな膝のコントラスト。大きめのくるぶし丈のブーツがロリっぷりを強調している。


 つい熱っぽく語ってしまったな。

 どうやらこっちの世界は割とユーザーに媚びた方面で攻めているらしい。

 いや、どっちが良い、悪いとかではないのだ、こういうのは。


 ふぅ……。ただ、我々はこの世界を受け入れ、ありのままを肯定するのだ。


 つい賢者になってしまったが、ドワーフと言うならやっぱりアレ、できちゃったりするんですかぁ?


「……ドワーフ、金属を扱えたりはするのか?」


「ウス!我らローニィ一家にお任せあれっス!鉛に鉄に銅!後たまに金!火にかけて溶けるやつなら、大体何とかできやす!!」


 おぉ!めっちゃ頼もしいじゃん!!いいじゃんいいじゃん!


「我らの街、今は村以下だが、そこに作りかけの炉があるのだが、あれを何とかできないか?」


「ああ、あのクソガキが適当に作ったみたいなやつッスね?使ってるモノは良かったんで、うちらで炉に組み替えやした!」


 カサカサカサッ!っと台所にいるGの様に、ロイに近寄るミリア。

 そして繰り出される雷のような速さのローキック。なんか磨きがかかってないか?


「イッテェ!!何すんだテメっ!」


「機人様の作ったものを、子供の積み木とか、思ってても言ったら駄目に決まってんだろ!」


 あの、ミリアさん?


「はぁ!?クソ積み上げたらクソっていってやんのが本人の為やろがい!」


 おお、ロイの見事な右ストレート!!あ、ミリアさんがアゴに食らってひっくり返った。


 待ち望んだ金属加工技術がポトポトに伝来したわけだが、ローニィ一家さん、あなたがしばき倒したそれ、ポトポト王です。


 ――うーん、これ、大丈夫かぁ……?

 

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