ミリアのプレイスタイルはそっちかー

 さて、夜が明けて次は何を作ろうかーと、豆腐ハウスと白いコンクリの壁が並ぶ「新エルフの里」を見渡す俺。

 大体は食糧確保のための畑、サバイバルゲーならツールを作るための炉とか、そんなんだよなー。


 だがそんな俺の予想をミリアちゃんはちゃんと裏切ってくれた。

 粘土と瓦礫をつかって、なんかの原始宗教の神殿、8分の1サイズのストーンヘンジを作っていた。


 そっかー、ミリアちゃんは宗教創始を狙う感じかー。ゲームなら文明次第で割と悪くない選択だが、この状況でそれはどうなんだろうね?


 まあそれはそれとしてだ。畑を作ったとしても収穫は3、4か月後になるだろうし、その間の事業として。ここはまず炉を用意して、軍事教練施設を作ってエルフ女の人たちが自分たちの身を守れるようにしましょうかね。


 さすがに俺がずーっとここにベタっといないといけないっていうのはじり貧になってしまう。ここ何もないし。


 さて、こういった時の打開策はクラフトメニューになるわけだが……畑と炉はともかく抽象的な訓練施設~とかになると難しいな。んなもんはないわ。


 うーん、うーん、あ!ひらめいた!四角いブロックとか丸い玉みたいな、いわゆるプリミティブっていわれる、いろんな形状のブロックをまとめたカテゴリってないかな?

 拠点を作るなら必須だし、あってもおかしくないはずだ。


 ぷ、ぷ、プリ、プリおう、マジであるんだ、よし、これならいけるぞ!


 俺はプリミティブというメニューを開く、するとこれだけはちゃんと作成物のグラフィックが用意されたメニューが出てくる。


 やろうとすればできるじゃーん。なるほど、1メートル四方の正方形を基準として、それを最大4分割した長方形、三角、丸で作られたパーツを出せるのね、ふむふむ。


 うまいことやれば世界的な箱庭クラフトゲー、「ワイノクラフト」みたいに豪華な拠点が作れそうだな。おおきな地震が来たら、ぜったい崩れるけど。


 俺は1メートルの正方形ブロックを瓦礫の余りから作り出し、それを積み重ねて、上から見たらコの字型になるようにしてまず射撃場の基本を作る。


 あとは棒と4分の1長方形を組み合わせてテーブルやパーテーションを作って地面にぶっ刺して終わりだ。コンクリートの灰色そのままの結構武骨な感じだが、まあ弾が後ろに抜けて誰かに当たらなきゃ、これで十分使えるだろ。


 ダミーターゲットとかいう人の形をしたものに的の書かれたものはクラフトで作れるので、それを並べて地面に固定すれば、まあ何となく射撃場っぽい者の完成だ。


 俺はミリアを呼んでこれがどういったものか説明して、武器を渡してまず数名から訓練を始めることにした。


「ミリアよ……わが眷属よ、これは我が今から汝らに与える武器の使い方を覚えるための場所だ」


「なんと!機人様のお力を、我らに分け与えてくださるのですか!?」


「うむ……まずは数人から始め、その者たちが習熟したのなら、次にその者たちが教官となって他の者たちに武器の使い方を教えよ」

「最初の数人は、ミリア、お前が選ぶと良い。」


「へぇぇぇえもったいなきお言葉ですぅぅぅ!」


 まずは銃を持つのが初めてだろうからな。弾の込め方、銃口を覗き込んじゃちゃいけないとか、仲間に向けちゃいけないとか、そういうところから始めないとだな。


 あとは畑を掘り起こすための道具を作って、屯田兵ばりに畑!訓練!畑!訓練!をエルフの女たちにはしてもらおう。

 かなりハードな生活だが、ここはしばらく信仰の力で……耐えられるのかなぁ?

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