ミリアの考察
機人様は我々をヒトブタ共の街だった場所に我々をいざない、瞬く間に壁を打ち立てて、我々の住処をご用意賜った。
これが意味することは何だろうか、機人様の行いからそのメッセージを読み取るのが、エルフの神職、私ミリアの役目だ。
なぜ、ヒトブタの街があった、奴らが取り戻しに来かねない、危険な街の跡地に機人様が我々をいざなったのか。
これはもちろん、「ヒトブタと我々が戦う機会」を用意するためだ。
つまり、我々は機人様に問われているのだ、お前たちは武器を取り、戦う気概がまだあるのか?と。
確かに私たちは機人様に救われてから、まだ一度もヒトブタと戦っていない。本来ならばすぐにでもヒトブタ共を血祭りにあげて、口だけではなく行動でもって信仰心を示すべきだったのだ。
ああ!しかし慈悲深い機人様は我々にその為の一歩を踏み出すための地ならしをしてくださったのだ!ここまでしていただいたのに、戦わないという事が出来ようか、いやできようはずもない!
そして機人様が我々に賜った住居だ。土と木で作った村の家に比べて、石だけのそれは冷たく、硬い。これは何を意味するのか。
エルフの英雄、アウグストスクァンタムジョボジョボビッチの故事に、敗北の屈辱を忘れないようにするため、硬い石の上に寝たという故事がある。寝具の一つもなく、土の上に雨風だけしのぐ石の家、まさにこれはその故事を模しているに違いない。
「奴らのしたことを忘れるな」必ずや仇を取るように。機人様が言わんとすることはこういう事だろう
機人様はエルフに伝わる故事にも造詣が深いようだ。
早速このことをみんなに伝えないといけない。言葉少ない機人様の真意を伝える事、それこそが機人様にミリアという名を与えられた私の役目なのだから。
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