やっべ!こういう時の口上考えてなかった!

 ミリアを頭に載せて、俺たちは砦の資材を片っ端から漁っている。

 まあそこで俺が結論付けたのは、あれだ。

 鉄使えなくなってもいいから、神聖オーマ帝国、滅ぼしてよくね?ってことだった。


 いやあ、さすがにここまで未来の世界が荒廃しているとは思わなかった。

 なんていうか、前の歴史はあれでマシな方だったんだね。

 ん-っと、シミュゲーで言うと、文化とか芸術の技術ツリーもちゃんとマメにとっていった感じ?

 なんでリプレイの方がひどくなってんのよ。


 大量の生首を足蹴にした貴族っぽいヒゲ男爵の絵を堂々と飾るわ、人皮のランプやカーペットなんかの家具はあるわ、暖炉に飾られたエルフの女の上半身の剥製を見た時は銀河鉄道9〇9の機械伯爵かよと思ってしまった。


 いやー、想像以上にヤバすぎて頭が痛くなってくるね。服とかはマトモなのにやってることがヤバすぎて脳がバグるわ。脳ないけど。


「……なんとおぞましい光景か。これがオーマだと……?」


「機人様、これがカス以下のゴミムシのヒトブタのやることです」


「……根絶やしだ。それ以外にすることはない。」


「でしょぉぉぉぅ???!ぶっ殺しちゃいましょうよ!〇〇カスも残らないように!」


 顔は美人なのにいう事がやべーんだよな……。もうおうち帰りたい……。


 俺たちは砦の外と中の死体や、金属製品をあらかたスクラップとして回収した。結果ミニガンの弾は2000発、サブマシンガンの弾は3000発以上手に入った。


 まだ同じくらいの量の弾がつくれるだけの資材を食ったが、何か他に作りたいものが出た時用に念のために残しておく。


 中のものを漁って外に出ると、俺たちはすっかり取り囲まれていた。

 人間だ。ざっと100人は居るか?


 たぶん冒険者ってやつだ。

 装備も年齢もてんでバラバラの男女が思い思いの武器を俺に向けている。

 なんかラノベの表紙を並べたみたいな感じになってんな。

 ここはナーロッパに準拠してんのね。

 おっさんは倫理観も準拠してほしかったなぁ!?


「……」

 やべっ、まさかもう来るとは思ってなくて、こういう時の口上何も考えてなかった!!!


「機人だぁぁぁ!!ぶっころせえええぇ!!」

「勇者を殺した悪党だぁ!」


 ミリアを載せた俺を20数人の冒険者がざざぁっと取り囲む。

 俺がミニガンで掃射しようとした瞬間、冒険者側から声が上がってつい手を止めてしまった。


「まちな!!!」


 良く通る声で叫んだあと、一人の鎧を着た男が歩み出てくる。

 何処からともなく声があがる。


「あいつ……『鉄鎖の信用』の異名を持つ、ウーラ・ギルマンだ!」

 周りからまじかよ!すげー!みたいな声が上がる。


「この砦には俺の幼馴染のエリィが居た。あいつは、何時も訓練を頑張って、それでたった10数人のエルフを殺しただけだった……てめえの血の色は何色だ!?」


「ふ、ウーラ・ギルマン、こいつに借りがあるのはお前だけじゃないぜ?」


「あ、あいつは『切れたナイフ』のフー・リョウ!まだ生きてたのかよ!?」

 いや、切れたナイフってそれ普通に壊れてるナイフだろ。


「ここの城主のビアードは俺に子エルフの丸焼きをごちそうしてくれた、2つもだ!それをこいつは……、そんな悪行をしておきながら、まるで顔色ひとつ変えてねえ!!!」


 そりゃ機械だからね。


 なんかこれ以上喋らせると、周りも同じようなことを言いだしそうだな。

 俺はさっさと両手のミニガンとマシンガンで薙ぎ払うように掃射して冒険者たちを細切れにした。


「「PAPAPAPAPAPAPAM!!」」

「「VOOOOOOOOOOOOM!!」」


 俺の体はロボットだけど、スター〇ォーズのドロイドみたいに360度上半身が回るわけじゃないんだよね。なので若干の打ち漏らしが出る。

 とはいえ、あとは個別に射撃していけば済むな。


「PAM!」「PAM!」「PAM!」


「救いは……人間に救いはねえのか?!」

「私達このまま……死んで……ッ?」


 えぇ……どの口で言うのソレ。

 

 冒険者だからこう、謎魔法とか謎防具とかで銃弾を防ぐ奴がいるかもな?とは思ったが、この烏合の衆は別にそうでもないらしい。

 オーマが正規兵じゃなくて冒険者を引っ張り出したという事は、すぐに出せる戦力は無いという事だ。


 こいつらをしばき倒せば、ラッシュは終わり。エルフの里はしばらくは平和のはずだ。

 なのでこの後、少し内政をさせてもらうとしよう。


「PAM!」

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