第222話 グリーンブック

 1960年代のアメリカの話で、黒人差別があからさまな頃の話です。

 タイトルの『グリーンブック』も、黒人が食事したり、問題なく泊まれる宿を示している、リストの名前です。


 いや、普通にムカつくし、これが大昔じゃない、日本的に言えば『昭和』の話なんだよね。

 それも30年代から40年代の。


 特に差別の激しかった南部をツアーで回ることになった世界的ピアニスト(黒人)と、その用心棒兼運転手の粗野な男(白人)の物語です。

 

 黒人の、世界的なピアニストを招く側は白人で、招いておきながら根本ではただ人種が違うと言うだけで、差別し馬鹿にしているのが、もう……

 もめながら、どんどん近くなりお互いの立場に立てるようになる主人公2人の距離感がいいです。

 きっと作り手側の優しさなんだろうと思うのですが、ずっとどうしようもなく嫌な存在だった白人(警官)が、ラスト意地悪じゃなかったのが少しだけ救いです。


 社会に蔓延っていた『差別』は、いきなり変わったりしませんが、完全に変わった2人の距離感が嬉しかった作品です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る