異世界サスペンス・むちむちプリンセスの湯けむり事件録 〜惨劇のザマァ!死を招く悪役令嬢とチートでパンツが脱げない男!?一服盛られた魅惑のJC〜

何屋間屋

惨劇のざまぁシリーズ1 〜最凶悪運持ちの俺を追放した勇者パーティ、もう遅い。惨劇のざまぁ〜

第1話 惨劇のざまぁ1

「お前はクビだ、今すぐ荷物をまとめてこの国から出て行け」


 そう淡々と勇者に告げられパーティを解雇されたその男は現在、傷心旅行――もとい、国のはずれの無人露天風呂に浸かりながらこれからのことを考えていた。


「あーあ……何がいけなかったんだろうな」


 男が所属していたのはいわゆる勇者を軸とした勇者パーティ、その中でパーティの盾役として男は精一杯貢献していたつもりだった、今日までは。

 それが突然前触れもなく、理由も説明されないままパーティを解雇、自分の荷物と封筒一枚だけを投げつけられ国から追放されてしまい今に至る。

 男自身解雇に心当たりがあることといえば酒癖が非常に悪くたびたび記憶を飛ばしたりしていることぐらいだが――国を追放されるほどの理由だったかといえば。


「確かにパーティ解雇されても仕方ないくらい最近はやらかしまくってたかもしんねぇな」


 少なくとも心当たりがある程度の失態は冒していたようだ。


「でも突然解雇はないだろ!何年一緒にパーティやってきたと……ああクソ、また泣けてきた……」


 涙は流れて止まらないが、ぐいと口につけお猪口ちょこからは一滴の酒も流れてはこない。男は大きな身体を揺らし、湯に浮いた盆を手繰り寄せ徳利とっくりを取り、震える手つきで酒を注ぐ。


「もう面倒くせぇなあ、そのまま呑んじまうか!?なんてな!あっはっはっは!」


 笑いながら泣きながら、ふわふわと男の思考は曖昧あいまいになっていく。今までのこともこれからのことも、身体から全て溶けでて温泉に流れていくようだった。


 そうして――




――――――――――――――――――――




〜BGM:むちむちプリンセスのメインテーマ〜




わたくしは探偵志望、ルミエーラ王国第三王女、ネージュ。

 本日は一人で日課のランニングこなしていると、コース外れの無人露天風呂から悲鳴が聞こえてきましたわ。

 ランニング終わり、いかに気持ちよく汗を洗い流すことしか考えていなかったわたくしは自身の肩書きが探偵志望であることをすっかり忘れておりましたが……


 思い出したので、来ましたわ。

 しかし、第三王女が公務をサボって道草をしていると知られたら、王家の名誉に関わりますわ!

 ですので此処ここではわたくしをこうお呼びください。


 夢中に霧中なプリンセス、略してむちむちプリンセス!華麗なる推理劇、ザバっと整えて見せましょう!」


「長ぇよ。自己紹介が長ぇよ。自己紹介でその長さが許されるのは国民的高校生探偵だけだよ」


 よく晴れた昼下がり、こじんまりとした無人露天風呂のさらにこじんまりとした男湯に少女の声が響き渡る。

 この、星々を束ねたように輝く銀色の髪を持つ少女、名をネージュという。

 何を隠そう、この物語の主人公である。

 ネージュは被害者の救命活動に当たっている二人の少年少女を見下ろしていた。


「時に、あまりお見かけしないお召し物の貴女、お名前はなんていうのかしら?」


「わたしは川井 伊代かわい いよっていいます。

そっちの子にはもう説明しましたけど、事件発生時刻とやらに隣の女湯にいた者です」


 そう答えたこの、星一つない夜空が如き黒髪の少女、なんと驚き、この物語のもう一人の主人公である。

 着崩した黒いブレザーに赤いシャツとタイツ。この世界ではまず見かけない学生服ファッションである。


「そのようにお見受けしますわ、御御足おみあしが真っ赤っかですものね」


「地肌なわけないだろ。よしんば地肌だとしたら早急に近隣の病院に行け。これはタイツです。」


「ふむふむ、ちなみにカワイイヨ様はそちらの勇者様とは先程まで面識がなかったのですわよね。お友達などは?」


「友達なんていません。あと、わたしの名前、全部言わなくて良いです。上か下だけでお願いします」


「それもそうですわね、カワイイヨ!」


「『様』を切るな。丁寧と失礼の間を取ろうとするな。だいたい、それ以前に――」


 びしっ、とネージュの身につけた外出用の外套がいとう。否、外套から全く隠れていないたわわな双丘を指差し。


「乳尻太もも全部丸見えの格好で公共の場を歩き回るあなたは、一体何者なのですか?」


 そう、指摘した。

 その瞬間である。憐れすきを見せてしまったMs.カワイ、これは始まりの合図。


「丸見え……不適切……ふふ、なるほどわかりましたわ!つまりをお望みですのね!」


「は??」


「勇者様、ゴングはお持ちでして!?」


「イエッサープリンセス!こちらに!」


「は?」


 カワイと共に被害者の救護に当たっていた金髪の中性的な顔立ちをした少年。いつの間にか彼は金色のゴングを持ち、開幕宣言を今か今かと待ち受ける!

 そしてこのタイミングをもって被害者は顔から局部にかけてバスタオルを一枚乗せられしばらく放置されることとなったのだが、致し方なし!なぜなら――


「時は来ました!はじめましてよ!夢中に霧中の謎解きプリンセス。ネージュの華麗なる推理劇を!!!」


 カンカンカン!というけたたましいゴングが鳴ると同時に、勢いよく外套がいとうを剥ぎ取るプリンセス!

 その下から覗くのは双丘の頂きにそびえる二つの飾り――のみを覆い隠す麗しの銀細工ニップレス


「ふっ……わたくしの勝負服をお見せしたからには必ず!この事件の真相を明らかにし、ストリップリプリプリンセスなどという言われのない中傷を訂正させてあげますわ、カワイイヨ!」


 さあ、夢中に霧中の謎解きプリンセス――略してむちむちプリンセスの華麗なる推理劇、ゴングの響きと共に開始である!!!



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