じわり
残暑どころかまだまだ猛暑続きの9月初頭ですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。自分は仕事柄外回りが多く、エアコンガンガンに利かせた車に乗っていてもギラギラの太陽熱でじわりと汗をかくことが多いです。いったいいつまでこの暑さが続くんでしょう。フェーン現象だからといって「フェーン😭」なんて泣き言は言っていられません。
もはやこんなギャグすら意味を成さない暑さです。
さて、今日はこの言葉について。
「じわり」
最近こんな見出しのニュースを見ました。
「夏なのに…せき止め「極端に不足」 “薬足りない”コロナ影響じわり」
それは「影響じわり」じゃなくてモロに出てるんじゃないかなあ、というのが最近の感染者推移を見ての当方の予想ですが、見出しに「じわり」を使うシーンってそういえばそこそこよく見かけるな、という気がしたんです。
そこで、Googleにて「じわり メディア」で出てきた検索結果ページを元に、上から順に並べてみました。
・スローニュース「じわり」SNS型過剰消費に変化?
・じわり拡大 インパクト評価
・【メディアインサイド】見逃しTV視聴サービスじわり存在感 思わぬ“恩恵”も
・〈メディアと世界〉苦境の米新聞界 金融支配じわり
・アメリカでじわり広がるウクライナ反転攻勢・停戦論
・ニュース~記録型DVDメディア、じわり値下がり
ニュースメディアの見出しですが、ざっとこんなもんでしょうか。こうして見ると実にさまざまな物事に対して「じわり」という表現が使われていることがわかります。
言わずもがな、「じわり」というのは擬態語であり、物事が徐々に進行してゆくさまを表現するものです。だからそこには多分に書き手・読み手双方の主観成分が含まれる言葉のはずです。つまり、どんな程度をもって「じわり」と受け止めるかの感覚的差異がある、ということですね。
最初の見出し「夏なのに…せき止め「極端に不足」 “薬足りない”コロナ影響じわり」というのも、最近のコロナの感染者数増加(第9波)を見ていると、とても「じわり」なんて表現が見出しとして採用されるべきではないことはわかるわけです。
「実態としてはわからないしちゃんと裏付け調査もしてないけど、なんかそんな気がする」程度の表現として使われるのが「じわり」なんじゃないかと思います。
ここで、面白い論文があったので紹介します。
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擬態語「じわり」の用例分析─新聞見出しの場合─/中部学院大学、山田丈美
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390285300175313664
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ちょっと古いですが、「じわり」用例の推移やよく並列されて使われるキーワードなどが見出されており、社会言語という枠組みでの言葉の意義を強く感じるものになっています。
「表現としては曖昧だけどなんだかしっくりくる」ような言葉は、各々の感覚的差異に寄り添うため納得感を得やすく便利ではありますが、そのじつ、真相を濁す作用があるのかもしれませんね。
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