第14話
「あり得ないったらあり得ないよっ!」
「ひぇぇぇえ!!」
突然大声で叫ばれてこちらも大声で悲鳴をあげてしまう。サッと振り向くと、そこには先ほどの変な雰囲気とは異なり、茶色い艶やかな髪を綺麗に伸ばした美少女が俺に掴みかかっていた。
「な、なんですかあんたは…。」
そう尋ねると、少女は俺から手を離してすぐさま隣にいるノエルに詰め寄る。
「こんな美しい髪、そして綺麗な顔、こんなサンタクロースのような容姿でうちに、サンタクロース研究会にこないなんて有り得ないっ!是非ともうちに来てくれないか!」
「えっ、でもノエルはまだ…。」
「どうもこうも無い!昼休みにこの教室で待ってるから。」
そう言い残して教室名が書かれたメモ用紙を渡して彗星のように去っていった。
「なんだったんだあの人は…。」
突然背後から話しかけられたと思ったら、ノエルを勧誘して去っていった。あれがサンタクロース研究会の人間ということか。
「なんか凄い人だったね。」
「サンタクロース研究会、恐るべし。」
俺と咲良は嵐が過ぎ去ったように呆然としていた。一方ノエルは、貰ったメモ用紙をガン見しながら再びキラキラオーラを放っている。
「ほんとに、サンタクロースを研究している人達がいるんですね…私、感激です!」
自分が研究されているというのが嬉しかったのか、ノエルのご機嫌は上々だ。
「昼休み、行ってみるのか?」
「はいっ!ノエルはあの方に興味があります。」
なぜかやる気満々になってしまった。しかし、咲良はなんだか渋そうな顔をしている。
「ノエルちゃん、こう言うのもあれなんだけど、大丈夫なの?かなり怪しい団体でしょそれ。」
「そうでしょうか?私はあの方は結構しっかりしていると感じたのですが?」
「確かに、行動はともかく、見た目は良かったよなぁ。」
綺麗に手入れされている感じの髪に、整った顔。正直町中で偶然すれ違ったら二度見してしまうぐらいには可愛かった。
「名執くん、女の子を見た目で判断してるの…?」
「いや決して、そういう訳では…。」
突き刺すような咲良の視線が怖い。よく見たらノエルも同じように俺を見つめていた。
「界人、可愛い子なら誰でもいいんですね…私、悲しいです…。」
「とりあえずお前だけには言われたくない。」
ノエルは自分がどれだけ凄い容姿をしているのか自覚がないのだろうか。正直、この学校では存在が浮いているというか最早飛び立っている。
「私、心配だなぁ、ノエルちゃんがそのサンタクロース研究会ってとこに行って、変なことされるんじゃないかって思ってる。」
流石にそんなことはないだろうが、咲良の気持ちが分からないわけではない。
「じゃあ、俺も一緒に行こうか?昼休み。」
「いいんですか!」
ノエルの表情がパッと明るくなる。それをされると絶対に断れなくなるからズルい。
「まぁ、付き添うだけなら。」
「ありがとうございますっ!一緒にサンタクロース研究会がどれほどのもんか見定めてやりましょう!」
「ノエルちゃん何でそんな上から目線なの…。」
こうして昼休みに俺とノエルでサンタクロース研究会とやらの部室に突撃することとなった。
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