遠足準備⑤

数学の問題の解説も終わり、僕と優里と篠原さんの3人で何気なにげない話をしていると、委員長が教室に入ってきた。


(ここからが正念場しょうねんばだ。頑張っていこう‼︎)


優里とクラスメイトの対処は終わったので、残るは委員長と夏樹の2人だけだ。


しかし、もし仮に委員長が僕らと同じように篠原さんと話しているような状況で夏樹が学校に来れば、多分嫌でも仲がいい僕らがいる篠原さんの下まで話しかけに来るだろう。


そういう意味でも、早急に委員長が篠原さんと話せるような状況を作らないといけない。


(これについても作戦は考えてある。まず、委員長に話しかけて……)


「おはようございます、金木くん、梶岡くん。そして、さん」


(な、何⁉︎ 向こうから話しかけに来ただと⁉︎)


委員長は基本夏樹が来るまでは、1人で自習するか、他の女子と話していることが多い。そのため、僕たちが話しているところにわざわざ話しかけに来ないだろうと思っていた。


……思っていたんだが、


(お、落ち着け。考えるんだ。手間が省けてよかったと)


心の中で動揺を押し殺し、できるだけ平静へいせいよそおって挨拶を返す。


「おはよう、委員長」


「おはようございます」


「お、おは……よう」


「それで皆さんは何の話をされていたんですか?」


しかし、委員長の目は全く笑っていない。


(だからどういうことだよ⁉︎ 話しかけるのは嫌なのに話かけに来たのか⁉︎)


何を考えてるのか全く分からない委員長に怯えながらも、とりあえず話を続ける。


「優里と一緒に数学の問題を教わってたんだよ。そして、それが終わってなんとなく喋ってる感じだよ。ね、篠原さん」


「(コクコク)」


「あら、学年主席である金木くんでも分からなかったのですか?」


「ああ、答えに自信がなくってな」


「それでは、荷物を置いたら混ざってもよろしいでしょうか」


「もちろんさ」


図星を突かれたことで内心ヒヤリとしながらも、計画がうまくいったことを喜ぶ。


(しっかし、どうして委員長は自分から話しかけに来たんだろ?)


−−−−−−−−−−−−


「篠原さんのことをだった僕が保証する」


…………は?

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