遠足準備③
結局、ろくに話し合いが出来ないまま、6時間目のロングホームルームが終わってしまった。
(マズイな……)
予想以上に、篠原さんが班に
篠原さんと3人の間を取り持とうと頑張ってみたものの思ったようにいかず、それどころか、夏樹とは険悪すぎて大変なことになっている。
(マジでどうしよう……)
そんな1人悩んでいた僕の元に、帰りのホームルームが終わるとすぐ、篠原さんがやって来た。
「少し話してもいいかしら」
「……わかった」
僕の返事を聞くと、篠原さんは注目を浴びる教室から出て行こうとし、僕もその後ろについて行き、
※
「ごめんなさい」
篠原さんは、到着するとすぐに謝ってきた。状況的に、中学生の頃、告白を断り続けられてきたことを思い出したが、そんなことは頭の隅に追いやって篠原さんの話の続きを聞いた。
「私は今週末にある遠足を休むわ。学級委員である貴方と班の方々に、これ以上迷惑をかけるわけにはいけないもの……」
「……」
僕はすぐには何も言うことができなかった。
確かに、篠原さんが休んでくれるのなら、僕はこれ以上悩まないでいいし、遠足も4人で楽しむことができる。それでも……
「あの時、手を挙げてくれたことについては、本当に感謝しているわ。それでも、これ以上私と関わらない方がいいわよ」
……こんなにも人のことを思える優しい子が、損をしていい理由にはならない。
言うことを全て言い終わり、今にも帰ろうとする篠原さんに声をかける。
「篠原さんには遠足に行ってもらう」
篠原さんは驚いたような顔をしながら聞き返してきた。
「なんで?私の話、ちゃんと聞いてた?他の子にも迷惑をかけることになるのよ」
「それでもだ!それでも、篠原さんみたいな優しい人が損してもいい訳じゃない。篠原さんは伝わりにくいだけなんだ。絶対にみんなと仲良くなれる。篠原さんのことを好きだった僕が保証する」
少し大きな声を出してしまった僕に、篠原さんもびっくりしてしまった様だった。
そして……
「ほ、本当に?私が行っても……いいの?」
そんな篠原さんの問いかけに、僕は自信を持って答えた。
「もちろん!」
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