○○視点 入学式①
ようやく待ちに待った入学式。
やっと、たかくんに会える。
会ってないうちに、どう成長したんだろ……
やっぱり、あの頃と変わらず優しい系?
それとも、打って変わってクール系?
もしかして、予想外のちょいワル系?
「うへへ……」
おっと、ここは電車内だから声を出さないようにしなきゃ。
それはそうと、たかくんと会うにあたって懸念すべき事項は主に2つ。
1つ目は、彼女がいるかどうか。
いた場合は……ね?
たかくんには私の愛がどれほどのものか、教えてあげないといけない。
でも、多分いないと思う。
これから私たちが通う学校は、県内で1番学力が高い学校だ。
だから、たかくんはきっと中学生の頃は教室の隅で黙々と勉強してるタイプだったんだと思う。
そして中学では、勉強が出来る男子よりも、スタイルが良くて運動ができる男子の方がモテる。
だけど安心して、たかくんに魅力がないんじゃなくて、魅力に気づかない周りが愚か者なだけ。
だから、高校では私がそんな愚か者たちなんてどうでもよくなる程、愛してあげる♡
2つ目は……たかくんは私のこと、どう思ってるんだろう……
私とたかくんは小学2、3年生の頃までは、とっても仲が良かった。
どんな時もいつも一緒で、一緒にお風呂も入ったことがある。
でも、たかくんにだんだん避けられるようになって、いつのまにか疎遠になってしまった。
そして、理由も聞けないうちに奴らの事情で引っ越すことになり、たかくんと離れ離れになってしまった。
たかくんは、どう思ってたんだろう……
もしかして、私のこと嫌ってたのかな……
たかくんの口から、
「嫌い」
なんて言われた日には、私はショックで死んでしまうかもしれない。
だから、私が私であることは秘密にしよう。
幸いなことに、奴らが離婚したおかげで私の苗字はあの頃と変わっている。
高校では、たかくんに私のことを好きになってもらえるように頑張ろう。
そして、付き合って、結婚して、子供ができて、マイホームを持って……
「うへへ……」
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