とある少女の回想⑤
父と母が離婚することが決まった。
そして、彼らは突然、私にこんなことを聞いてきた。
「○○は私の方が好きよね」
「いや、○○はお父さんの方が好きだよな」
気持ち悪かった。
本当に気持ち悪かった。
私が話しかけても返事すらしなかった彼らがいきなり私のことを奪い合い始めたのだ。
理由は簡単。
財産分与でお互いに優位に立ちたいから。
私は彼らのどちらが好きかという質問に答えられなかった。
私が好きなのはたかくん、ただ一人だ。
すると、彼らはまた言い争いを始めた。
※
結局、私は母方の方に引き取られることになった。
理由は、彼らが醜く言い争っている姿を見かねた母方の祖父母が、私を引き取ることを提案したからである。
そうして、私は祖父母の元に引っ越すこととなった。
ちなみに、母は祖父母に
自業自得だ。
※
祖父母は、私に会うとすぐに私に謝罪してきた。
自分達が育てた娘のせいで、孫である私が辛い目に遭ったこと。
そして、助けてあげられなかったこと。
祖父母は、彼らとあまり連絡を取っておらず、こちらの状況を最近までなにも知らなかったらしい。
祖父母はとてもいい人だった。
何を間違えたらあんな娘が産まれてくるのか本当にわからないほどだ。
そして、私はそんな祖父母を喜ばせ、迷惑をかけないように、引っ越した先の小学校、中学校では常に優等生であり続けた。
友達もできて、充実した学校生活を送っていた。
しかし、たかくんを心の支えにしていることに変わりはなかった。
彼のことを好きだと信じているうちに、彼のことが本当に、心の底から好きになってしまったのだ。
そこで、私は中学3年生の時、意を決して母に電話をかけた。
「もしもし○○です。」
「……チッ。あんたか。どうしたの」
「金木さんの家の電話番号教えて」
「080-1234-567」
「ありがとう」
「あんたは元気に……」 ブチッ
4年ぶりくらいの会話でとても緊張したけれど、無事に彼の家の電話番号を聞き出すことができた。
そして、
「もしもし、こちら総務省統計局です。お子さんの学校についてのアンケートにご協力いただいてもよろしいでしょうか」
「いいですよ」←金木くんの母
ふー
たかくんが行く高校も、お母様から書き出すことができた。
そして、私はその高校を志望校にし、無事に合格することができた。
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