2年前(篠原視点)
「これで帰りの会を終わります。さようなら」
「「「さようなら」」」
帰りの会が終わり、みんなが部活に向かおうとする中、私、篠原愛子は、この後行われることについて考えていた。
−−−−−−−−−−−−
「好きです。付き合ってください」
「ごめんなさい」
−−−−−−−−−−−−
こんなやりとりが、もう2年も続いていた。
相手は金木孝憲という名前で、目立つようなことはなく、いつも教室で難しそうな本を読んでいる、おとなしい性格の男子だ。
受験当日、筆記用具を忘れて困っていた彼に、シャーペンと消しゴムを貸したのが始まりだった。
入学してすぐに私に告白してきてフラれてからも、毎日告白してくるのである。
正直、告白にはうんざりしているが、助かったこともある。
※
私は小学生の頃ずっとひとりぼっちだった。
私は小さい頃、人見知りで、自分から誰かに話しかける勇気がなく、友達がいなかった。
中学でもひとりぼっちだと思っていた。
だけど、
「篠原さん、金木くんに告白されてるの?」
ある日、告白されてることに興味を持った子が、私に話しかけてきた。
「そ、そうだけど」
「えー、大丈夫?毎日告白されて迷惑じゃない?変なことされてない?」
金木の告白について話している内に、その子と仲良くなり、友達になることができた。
次の日、その子の友達とも、友達になることができた。
その後も、だんだん友達が増えていき、私の人見知りも改善されていった。
※
金木のお陰で、今ではたくさん友達ができて、学校に行くのが楽しみになっている。
(あいつもモテるのに、なんで私ばっかりに告白するんだろう……)
実は、金木孝憲は中学生の頃、モテていた。
理由は、なんでもそつなくこなし、子供っぽい他の男子とは違い、大人っぽかったからである。
さらに、一途であることや、本人は普通だと思っているが、意外と顔立ちが整っているのも
(わ、私は別に好きなんかじゃないし。ただ、ちょっと金木に恩を感じてるだけだけなんだから)
などと思いつつ、今日も、私は金木が待っている場所に向かうのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます