2年前(篠原視点)

「これで帰りの会を終わります。さようなら」


「「「さようなら」」」


帰りの会が終わり、みんなが部活に向かおうとする中、私、篠原愛子は、この後行われることについて考えていた。


−−−−−−−−−−−−


「好きです。付き合ってください」


「ごめんなさい」


−−−−−−−−−−−−



こんなやりとりが、もう2年も続いていた。


相手は金木孝憲という名前で、目立つようなことはなく、いつも教室で難しそうな本を読んでいる、おとなしい性格の男子だ。


受験当日、筆記用具を忘れて困っていた彼に、シャーペンと消しゴムを貸したのが始まりだった。


入学してすぐに私に告白してきてフラれてからも、毎日告白してくるのである。


正直、告白にはうんざりしているが、助かったこともある。



私は小学生の頃ずっとひとりぼっちだった。

私は小さい頃、人見知りで、自分から誰かに話しかける勇気がなく、友達がいなかった。


中学でもひとりぼっちだと思っていた。


だけど、


「篠原さん、金木くんに告白されてるの?」


ある日、告白されてることに興味を持った子が、私に話しかけてきた。


「そ、そうだけど」


「えー、大丈夫?毎日告白されて迷惑じゃない?変なことされてない?」


金木の告白について話している内に、その子と仲良くなり、友達になることができた。


次の日、その子の友達とも、友達になることができた。


その後も、だんだん友達が増えていき、私の人見知りも改善されていった。



金木のお陰で、今ではたくさん友達ができて、学校に行くのが楽しみになっている。


(あいつもモテるのに、なんで私ばっかりに告白するんだろう……)


実は、金木孝憲は中学生の頃、モテていた。


理由は、なんでもそつなくこなし、子供っぽい他の男子とは違い、大人っぽかったからである。


さらに、一途であることや、本人は普通だと思っているが、意外と顔立ちが整っているのもあいまって、結構女の子からモテていた。


(わ、私は別に好きなんかじゃないし。ただ、ちょっと金木に恩を感じてるだけだけなんだから)


などと思いつつ、今日も、私は金木が待っている場所に向かうのである。

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