ACT.10 スピリット・オブ・ウインド
あらすじ
松井田下仁田線に入ったオオサキのワンエイティと毛利のND5RC。
ND5RCはロータリーエンジンのパワーで前に出る。
トップを奪われたオオサキ。しかし<ズーム・アタック>を使用した時、オーラの色が変化した。
左中速ヘアピンを抜け、右からの長い直線に入る。
改めてあることを感じる。
「ワンエイティの加速が良くなっている!」
<スピリット・オブ・ウインド>の影響だろうか?
これなら、毛利に追い付けるかもしれない!
直線が終わると、左ヘアピンに入る。
ここで萌葱色のオーラを纏う。
「小山田疾風流<スピリット・オブ・ウインド>! イケイケイケイケイケイケー !」
風を纏い、超加速しながら抜けていく。
これを使うと、さらにワンエイティの加速力が良くなったと感じた。
「速くなっている!?」
技の影響だろうか?
高くなった加速力を身に付けながら、直進部分と左側が封鎖されて右ヘアピンとなった交差点に遭遇する。
今は技を使えない状況のため、普通のグリップ走行で攻めていく。
一ノ宮妙義線に入った。
しばらくは高速区間が続き、速くなった加速力で突っ走る。
「ND5RCに追いついてやる!」
直進部分と右側が封鎖されて左ヘアピンとなった交差点入る。
ここを<スピリット・オブ・ウインド>を使って抜けていく。
またまた加速が良くなった気がした。
下仁田安中倉渕線。
入った直後にある右高速ヘアピンを抜けると、3連続ヘアピンに突入する。
2つ目でトップを走るND5RCの後ろを捉えた。
「いよいよ捉えたよ、ND5RC!」
3つ目を抜けると、完全にND5RCの姿が見える。
毛利もバックミラーで後ろを確認した。
「よく縮めてきたのう。加速区間が続く道でどうやって縮めてきたんじゃ?」
おれがどうやって縮めてきたことについては、彼は分からなかった。
3連ヘアピンを抜けると、右ロングヘアピンに遭遇する。
ここでワンエイティは萌葱色のオーラを纏う。
「小山田疾風流<スピリット・オブ・ウインド>! イケイケイケイケイケイケェー!」
内側をコースアウト寸前に、超高速で攻めていく!
直後の左コーナーも抜け、直線に入る。
<スピリット・オブ・ウインド>で加速を上昇させたワンエイティは前を走るND5RCと互角に走行していた。
「さっきまでワシのロータリーロケットで離せたはずじゃが、いつの間にか加速を上げるとはのう……じゃが、ワシじゃって加速を上げる手段はあるんじゃ。爆裂のロータリー流<ロータリー・ホイール>!」
おれに対抗して、エンジンの回転を滑らかにしたND5RCは加速を上昇させ、少しづつだがワンエイティを引き離していく!
緩い右コーナーを抜けると、また直線に入る。
まだまだND5RCの方が優勢だ。
S字コーナーに入り、そこを抜けると松井田中宿線に突入する。
直線がまた来る。
ND5RCとの差はまた広がり、クルマ1台分の差となった。
「次のコーナーでであれを使うか……」
<スピリット・オブ・ウインド>の効果は切れ、ワンエイティの加速力はもとに戻っていた。
ND5RCとの差はさらに広がる。
長い直線区間が終わり、直進部分と右側が封鎖されて左ヘアピンとなった中野谷下宿の交差点。
ここで予告を実行する。
「小山田疾風流<スピリット・オブ・ウインド>!」
歩道に入りそうなほど、内側に突っ込む。
「イケイケイケイケイケイケー!」
交差点を抜けると、ND5RCとの差は縮まる。
再びワンエイティの加速力は向上し、前のクルマをテール・トゥ・ノーズの差で追いかける。
「追いつかれたか」
右高速ヘアピンに入る。
ここを抜けると、ND5RCは萌葱色のオーラを纏う。
「いよいよワシの心に火を点けてやるぞい! 爆裂のロータリー流<グリーン・ライター>!」
その時、ND5RCが速くなった。
加速上昇したワンエイティと互角の速度で直線を突っ走る。
「速い! トップに戻れない!」
速くなった前の車を見て、おれはそう感じた。
左高速ヘアピン。
ND5RCはクイックに攻めていく!
コーナーも今まで以上の速さだった。
「コーナーも速い! ついていけなくなる!」
そこを終えると、直線だ。
ND5RCとワンエイティは互角の速度で突っ走っていく。
しばらくは曲線がほとんどない高速区間が続く。
途中、ワンエイティの加速力が元に戻り、前の車との差が広がる。
「またあれを使わないと……」
右コーナーからのジグザグ区間に入る。
ここで予告をまた実行する。
「小山田疾風流<スピリット・オブ・ウインド>! イケイケイケイケイケイケェー!」
住宅街の壁にぶつかりそうなほど、内側を詰めて攻めていく!
ここからは一時的に安中富岡線に入り、直線が長く続く。
「一歩たりとも、前に出さんぞ!」
ワンエイティを前に出したくない毛利は白いオーラを纏う!
「爆裂のロータリー流<シューティング・スター>!」
落ちてくる星のごとく、かなりのスピードで加速する!
ワンエイティとの距離を大きく引き離した。
「前に出たくても出られない!」
おれはある現象のことを考える。
「あれが発動すれば勝てるかもしれない……」
それはおれの能力のことだ。
精神的にピンチになると発動する。
しかし、それには代償がある。
スタート地点にいる智姉さんもそれを考えていた。
実況の中継で、あの人も今のおれの状況を知っている。
「オオサキはピンチになると能力を発動させる。しかしそれは体力を消耗させてしまい、雨原戦の時は使いすぎて倒れてしまった。今回は長距離のレースだ。レースが終わるまでに消耗させないことを願いたい」
先頭を走る毛利とND5RCは下りになっている左ロングヘアピンを通過し、右側が封鎖されて左カーブとなったT字路も抜けていく。
彼はメーターのある部分を見ていた。
「ガソリンが減ってきとる」
ロータリーエンジンは燃費の悪さが弱点だ。
果たしてレース終了まで持つのだろうか?
先頭の2台の遥か後ろに、あるクルマが迫る。
「そろそろ、迫る頃じゃ」
谷輝のS15だ。
TheNextLap
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