ACT.9 ロータリーのND5RC
あらすじ
キャノンボールレースは妙義山へ入った。
ドリフトを封印し、重信のサバンナと奈々央のピアッツァと共に激しいトップ争いを繰り広げる。
妙義の終盤、ワンエイティに衝突しようとしたサバンナをピアッツァが食い止め、2台共にリタイアした。
トップに立ったオオサキだったものの、後ろに毛利スグルとND5RC型ロードスターの影が迫る。
スタート地点。
オオサキがトップになったという速報を聞く。
「智さん、オオサキさんが1位ですよ」
「スタートした時は最下位やったのに、先頭まで順位を上げるとは流石やで」
萩野と井上はそのニュースを聞いて喜んでいた。
しかし、私と六荒は冷静だった。
「オオサキちゃんが1位になったと聞いても、まだ安心できないぞ」
「そうだな。後ろには毛利スグルがいる。彼はテストドライバーだから腕もいい。しかも覚醒技超人で、軽いND5RCにハイパワーなロータリーエンジンを積ませている」
彼だけではない。
あの走り屋もいる。
「さらには後ろにいるのが、雨原のライバルである谷輝だ。いつかは追い上げてくるかもしれない」
私は天に向かって見上げる。
「曇ってきたな。谷は雨が得意な走り屋だ」
天候がバトルを左右する。
今日は天気予報は雨のち曇りと言っていたが、外れる方向に向かっている。
「雨が降れば……オオサキは負けるかもしれない」
残りの上小坂四ツ家妙義線を抜けて、直進する方向が封鎖されてU字ヘアピンとなった斜めT字路を過ぎると、松井田下仁田線へ突入する。
後ろのND5RCとはテール・トゥ・ノーズの差だ。
その道に入ると、2連続S字コーナーが来る。
どちらもグリップ走行で攻める。
毛利はメーターのガソリン計を確認する。
「ガソリンはまだ余裕ある。それが切れるまで、このままワンエイティを追い抜きトップに立ち、ゴールしたいもんじゃ」
燃費の悪いロータリーエンジンを載せたため、ガソリンを気にしながら走っている。
しかもそれは3ローターだ。
その点はバトルの鍵となるのだろうか。
2連続S字コーナーを抜けると、右ヘアピンに入る。
おれは無色透明のオーラを発生させる。
「<ハヤテ打ち>! イケイケイケイケイケイケェー!」
高速のグリップ走行で攻めていく!
ND5RCとの距離を引き離す。
「使ってきたか。じゃが、こっちもじゃ! <ハヤテ打ち>!」
相手も、高速のグリップ走行で攻める。
この後は直線。
ND5RCの方がパワーが上のため、離した距離を縮められる。
「どうじゃ? これがND5RCのロータリーロケットじゃあ!」
さらにND5RCは車重が軽いため、鬼に金棒だ。
S字から左ヘアピンに入る。
それらで引き離すも、今は上り坂であるため少しぐらいしか離せなかった。
右高速ヘアピンへ突入すると、智姉さんにトランシーバーで通信をした。
「ドリフトを使ってもよろしいでしょうか?」
「ダメだ。タイヤを温存するためだ。使える技は少ないが、我慢しろ」
「そんな……どうやってトップを守るんですか……」
「ヒントは……今まで使ったことのない、グリップ走行でもできる新しい技を考えろ」
そのまま通信を切る。
おれはドリフトメインの走り屋だが、グリップ走行もできる。
けど、それで走れる技は少ない。
重い頭を抱えながら、右ヘアピンへ入る。
「今度はこの技だ。小山田疾風流<ズーム・アタック>! イケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケイケェー!」
内側にギリギリ接近しながら、速度を上げて攻めていく。
ND5RCを引き離したかのように見えた。
だが、この後の左ヘアピンの立ち上がりにて……そのクルマは銀のオーラを纏う。
「こっから行かせてやるぞ! 爆裂のロータリー流<ロータリー・ホイール>」
毛利のオーラを受け取ったロータリーエンジンは滑らかに回転し、ND5RCの加速力は上昇する!
パワーアップした走りでワンエイティの前へ出ていく!
「先頭を取られた!」
「おっと! さっき以上の加速力を見せて、ワンエイティを追い抜く! 毛利スグル選手、先頭を奪いました!」
「お先じゃ」
ここからは緩い左コーナー。
先頭となったND5RCはワンエイティを引き離していく。
左ヘアピンと右ヘアピンで距離を縮めるも、ここを抜けると高速区間であり、前を走るクルマとの差は広がり、ついに見えなくなった。
「毛利選手、オオサキ選手を引き離していく!」
「どう縮めたらいいんだ?」
グリップ走行だけでそれを縮めろってこと?
これはヘビーだ。
ジグザグ区間に入り、ここで差を縮めるものの、それでもND5RCの姿が見えない。
「どうしよう、差が縮まらない」
郵便ポストを過ぎた後の左コーナー。
「小山田疾風流<ズーム・アタック>! イケイケイケイケイケイケイケイケェー!」
無色透明のオーラを纏いながら攻める。
しかし、ND5RCとの差はほとんど縮まらない。
高速区間を通り抜け、直進と左方向が封鎖されて右ヘアピンとなった交差点へ着く。
無色透明なオーラを纏い、そこを攻めていく。
「小山田疾風流<ズーム・アタック>!」
その時、オーラが萌葱色に染まる!
「あれ、色が変化している!? 見たことのない技を使っている!」
風属性の新しい技だ。
その色へ変化したにオーラ包まれたワンエイティは今まで以上の速度で加速する!
「さっき使った技は……<スピリット・オブ・ウインド>だ」
技の名前を命名した。
<ズームアタック>いや、<スピリット・オブ・ウインド>で抜けて直線に入ると、ワンエイティの加速力が上昇した感覚を感じる。
「さぁ、毛利スグルを追いかけるよ!」
果たして新技はおれを再び先頭にするのだろうか!?
TheNextLap
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