第20話 『悪役』と反撃
相手の勝利条件は2つ、俺を倒すこととシアン姫を連れて逃走すること。
相手は舐めているから俺を倒すことに意識が傾いている、ならばもう片方の勝利条件を潰させて貰うぜ!
俺は全速力で男に向かって駆け寄る!俺が痺れていたと思っていた男は思ったより速いスピードで走り寄ってくる俺に驚いて一瞬固まる。
『刺突一閃』の動作モーションは右足を踏み込んで身体全体を前に出しながら……突く!
タイタン の 攻撃!▼
ミス! フードの男 には 当たらなかった!▼
「『刺突一閃』!」
「はっ、ビビらせやがって!さっきの王女様より
「あ”ぁ!?」
反射的にタイタン君が出る、一応剣聖の息子だったから剣技に関してはずっと努力していたもんね……
しっかし、マジで剣に関しては才能ねーな。今の完璧に『刺突一閃』の動作モーションを
さっきのはただの突き攻撃、だが俺の目的は近付くことそのものにある!
「《パラライズ》!」
「ガッ……!てめぇ、付与師だったのかよ!」
タイタン の 《パラライズ》!▼
フードの男の左足 は 麻痺 になった!▼
「これでも元々は剣士だったんだよ!《ポイズン》!」
「左足が完全に使い物にならなくなるレベルのデバフを掛けられる奴が剣士だなんて笑えるなぁ!クッ!」
右足で強引に回避をしようとするが、シアン姫を担いでいるせいで動き出しが遅い。このままではポイズンが掛かると分かった男は、シアン姫を溜まらず落とす!
よし、これでシアン姫を担いで逃走する勝利条件を潰した。後は……
「やっぱお前は殺すわ。なめた真似しやがって……!」
この本気になったフードの男相手に俺がどこまで動けるかだ!俺は落とされたシアン姫がまた狙われないように前に立ち、フードの男と対峙する。
フードの男がビンを取り出して中身を飲み干した。そして左足をぶらぶらと動かす……ッチ、麻痺なおしを持ってたか。
だがこれでシアン姫を連れて逃げる選択肢を一時的に排除できた。身体が動けば回避は出来る、後は奴の心臓を止めるだけ!
「オラァ!『アサシンヴァイパー』!」
男が短剣を逆手持ちにして突っ込んでくる!あの動作モーションは『アサシンヴァイパー』じゃない……ッ!
フードの男 の 『ポイズンスラッシュ』!▼
ミス! タイタン には 当たらなかった!▼
やっぱり『ポイズンスラッシュ』か!
『アサシンヴァイパー』は急所を狙う技で、攻撃モーションは短剣を突き出すために短剣を持った手を自身の脇腹まで引く動作。決して逆手で短剣を持ってなで切りするような動きはしない!
俺は身体を一歩後ろに下げる事で回避する。短剣のリーチの短さを逆手に持つことで更に無くしてるのを見るに、マジで『ポイズンスラッシュ』って現実だと死に技だよな。
だから別の技を言いながら使ってワンチャンを狙いに来てるんだと思うけど。
「ッチ、相変わらず勘だけは良いなガキ」
「それだけで今日まで生きてきたからな!《パラライズ》!」
タイタン の 《パラライズ》!▼
ミス! フードの男 には 当たらなかった!▼
くっ、ダメか!もっと意表を突く戦い方をしなければこいつには当たらない!
フードの男は右に避け、脇腹まで短剣を引いて右足に力を溜める。今度こそ来る!
「良いからさっさと死ねよ、《ブルファング》!」
「絶対に断る!」
フードの男 の 《アサシンヴァイパー》!▼
ミス! タイタン には 当たらなかった!▼
キィンッと甲高い音が鳴る。胸に鋭く突かれた短剣を、俺が持っていたシアン姫のレイピアで弾いた音だ。
どこに攻撃がくるか分かっていたら、いくらレベル差があるとはいえ
つーか《ブルファング》は確かに突き技だけど、爪武器のスキル技だから短剣で出るわけ無いだろ!なんだよさっきからこいつ、嘘しか言ってねぇ!?
「お前、勘が良いんじゃねぇな。全部分かってて避けてんのか」
「…………」
「《アサシンヴァイパー》を低レベルな学生が見てから弾くとか絶対に出来ねぇ。お前、《アサシンヴァイパー》が来ると分かってたろ」
「……だからどうした、《ポイズン》」
タイタン の 《ポイズン》!▼
ミス! フードの男 には 当たらなかった!▼
タネが割れちまったか。そりゃさっきから嘘はばれるわ低レベルのくせに善戦されるわでおかしいことだらけだもんな。
フードの男が後頭部を掻く。そして面倒くさそうにため息をついた。
「はぁ……めんどくせぇな、お前」
「……ッガ!?」
フードの男 の 攻撃!▼
タイタン に 24 の ダメージ!▼
次の瞬間、右肩に強烈な痛みが走る!思わずそっちを見ると……さっきまでフードの男が持っていた短剣がぶっささっていた。
「ぁ……アアアアアアアアアアアッ!」
「言っちまえばお前にはスキルが通用しないんだろ?だったら……」
レベル差でゴリ押すしか無いって訳じゃねぇか、そういって男は懐からもう一本短剣を取り出した。
そう、俺はスキルを発動する動作を見て回避をしている。つまり逆を返せば、単純な『
フードの男 の 攻撃!▼
タイタン に 24 の ダメージ!▼
「あがっ!」
「おーおー、さっきまでとはうって変わって当たるようになったなぁ!」
フードの男 の 攻撃!▼
タイタン に 24 の ダメージ!▼
「おいおい、さっきまでの読みはどうしたよ!外れてるぜぇ!?」
傷が増えていく、血が止めどなく溢れてくる。俺は溜まらず片膝を突き、歯を食いしばって耐えるしか出来ない……ッ!
《パラライズ》で右腕を固定して持っていたレイピアも地面に取り落としてしまった……そう、シアン姫のすぐ近くに。
そろそろ良いんじゃないか?
「お前、つえぇよ。だが勝つのは俺だ、ガキ」
「……っ、いつまで寝てるんですか。もう身体は動いているはずですよ、シアン姫!」
「あぁ?ゴフッ!?」
シアン姫 の 《刺突一閃》!▼
フードの男に 80 の ダメージ!▼
予想外の場所から飛んできた《刺突一閃》にモロに食らって吹っ飛ぶ男。さっきまでいた男の場所には……レイピアを突き出したシアン姫の姿があった。
「あなたに剣を貸していたから寝る以外の方法が無かっただけです!別に剣さえあれば動けましたし!」
「本当に麻痺していただけの人が何を言ってるんですか……うっ」
通常攻撃によるラッシュ中、片膝を突いた時にシアン姫の麻痺状態を更新しておいた。さっきからタイタン君がシアン姫に
俺は肩に刺さっている短剣をそのままに立ち上がる。大丈夫、まだ体力は残ってる……絶対にこの状況を切り抜ける!
俺は体中に走る痛みを無視して立ち上がる。そしてシアン姫の横に立った。
「そんなにボロボロなら私の後ろで休んでても良いんですよ、変態」
「声が震えてますよ……怖いならそのまま寝たふりを続けておけば良かったんじゃないですか、シアン姫?」
「なっ!こ、怖がってなどいません!あなたは変態とは言え我が国の民、護る責任があるんです!」
「そんな手を震わせながら言ってもカッコつかないですよ」
そんな軽口を叩いていると、吹っ飛ばされたフードの男が瓦礫の中から飛び出す。フードの奥からチラリと見えたは目は血走って見開いていた。
さっきから予想に無いことが起きて上手くいかないでイライラしてるんだろう、しかも弱いと思っていた俺たちに吹き飛ばされた……自身のプライドがズタズタにされてはらわたが煮えくりかえっているはずだ。
「殺す……ッ!絶対にガキは殺すッ!王女は半殺しにしてブチ犯す!」
「ひっ……!」
「大丈夫ですシアン姫」
もちろん大丈夫な確信を持って言ってるから安心しろ、なんてったってシアン姫は……ゲーム序盤から火力役として重宝されていたキャラだぜ?
その役を十全に発揮できるように、サポートキャラとして俺が動けば……っ!
――――勝つぞ、このイベント。
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