第3話 『悪役』と迷いの森
片手剣を握りしめて、『迷いの森』へ。レベル1からでも倒せるモンスターがいるが、正直……作中の
この片手剣もいざという時の護身でしか無い。タイタン君レベル1時点での
この世界では初期ステータスがそのまま才能の値として評価される。それもそのはずだ、『学園カグラザカ』ではレベルが上がったときのステータス全体での合計の上昇幅はみんな同じだからな。
つまり、産まれたときの初期ステータスが高ければ高いほど最終的なステータスも他よりも高くなる。だからこそ『才能を持っている』という評価になるのだ。
ちなみに弟のオルフ君はレベル1時点でのSTRの値は24。巫山戯んなよ!勝てるわけねーじゃん!?主人公君が初期ステータス、オール30から始まると思えばまだマシだけどさ……
俺のSTRの4という数字が
「全く、ハードモードが過ぎるぜ……っと、お出ましか」
俺がそう愚痴っていると、ガサリと近くの草むらが揺れる。そちらを注視すると、草むらからスライムが飛び出してきた!
タイタン の 先制こうげき!▼
スライム に 0 のダメージ!▼
ぼよーんと跳ね返される俺の片手剣、スライムも全然効いてないかのようにぷるぷる震えている……うん、知ってた。
「にっげろー!」
タイタン は 逃げ出した!▼
最弱モンスターすら狩れない男タイタン、ここにあり。俺は一目散にその場から逃げ出した。スライムは攻撃されたと思ってすら無いのか、その場でぷるぷる震えている。
スライムの防御力、8もあるんだよ……俺が持ってる『鉄のロングソード』が攻撃力+4してくれる武器だから、俺の攻撃力は8!
……はい、スライムにダメージが入りませんね?8-8=0、小学生でも分かる算数が現実に現れていた。
いやー、ゲームの中とはいえ現実だからワンチャン斬れるんじゃないかなぁと思って攻撃してみたけどさ。やっぱりダメだったわ……
ちなみにこれより防御力が低いモンスターはいない。はいオワター。
「あれ?そう言えばこのダンジョンより弱いモンスターが現れるような簡単なダンジョンってなくね……?」
ふと気がついた可能性に俺は
なんでもうちょっとSTR方面の才能開花しなかったんだよタイタン君!?なんで君
後から後から文句が出てくる。制作者側も『タイタン悪役貴族だからヘイト買うだろうし、プレイヤーにストレス無くスカッとざまぁするために激弱にしといたろ、と思いまして(笑)』とかインタビューで答えてたねそう言えば!?
なんで俺、タイタンなんかに転生しちゃったんだろう……俺前世でなんか悪い事した?思い出せる記憶がこの世界のゲームを繰り返しプレイしてた事だけで、前世の名前や容姿なんかも忘れちゃってるけど。
弱いから敵を倒せない、敵を倒せないからレベルが上がらない、レベルが上がらないから弱い。堂々巡りだ……
作中でのタイタン君は主人公のパーティーに入ってコバンザメムーブをかまし、初めてレベルアップをするシーンが存在した。
当初の俺は加入当時に『レベル1!?ざっこ!もっと鍛えてから来いよタイタンさぁ』と思っていたが、タイタンになった今なら分かる。
「俺、産まれた時点で人生詰んでね……?」
タイタンが学園でオニキスという貴族の名を使って好き放題暴れる理由がちょっと分かった気がした。そりゃそうもなるわ、人生詰んでるんだもん……顔の可愛い平民のヒロインを犯そうと襲ってたのも、自暴自棄になっちゃったんだな。
「まぁこの程度で諦めるほど、俺はやわじゃねえがな!」
俺がどれだけこのゲームをプレイしたと思ってる?強い武器が落ちてる場所から隠しクエストの解法手順、裏ボスの攻略からヒロインのスリーサイズまで。全部把握してるほどの紳士だぜ?
今更たかが詰んでいる程度、なんの障害にもなりやしない。
「さて、まずは迷いの森で素材採集から始めましょうか……」
モンスターを倒すプランなんていくらでもある、予想以上に俺が弱すぎて正攻法が通じなかっただけの話だ。
正攻法で詰んでいるのであれば、正攻法じゃない方法を使えば良いだけだろう?
「やっぱ固定ダメージ、だよなぁ!?」
俺は側に落ちていた石ころを拾いながらニヤリと笑う。
作中で寝取られルートを攻略していたプレイヤーは考えた、『どうすればタイタンに武器を渡さずにダンジョン攻略をするか?』と。
その答えが、今俺の手元にある。正解は『フィールドで無数に拾える外れアイテムである石ころを大量に持たせて戦闘中ひたすら敵に向かって投げさせる』、だ!
タイタン君、強い片手剣持たせてぶん殴るより石ころ持たせてぽいぽいしてる方が安上がりで戦闘に支障が無いってどうなのよさ……
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