第7話 や、やれやれだぜ

やっと今日の授業が終わった・・・・・・

しかしいつもの俺だったら、

疲れた、早く家に帰ってゲームでもしよう。

とでも言うだろうが、今日の俺は違う。


少しだけ口角を上げ、華織からのL○NEを待っていた。早く華織に自慢してやりたいな。


そんなことを考えながら待っていると、早速華織からL○NEが来た。


”昨日と同じ公園で待ってて!すぐ行くから!”


と来ていた。

毎日友達から逃げてきても大丈夫なのだろうか。


俺は連絡が来てから直ぐに学校を出て、川澄公園に向かった。


5分程歩き、公園に着いた。

平日はあまり人が少なく、大した遊具もないからか、子供たちも少ない。

そして俺は、大人しく園内の端っこのベンチに座った。


ぼーっと噴水を眺めているうちに、華織が来たようだ。


「ごめーん!待った?」


「い、いや、全然」


相変わらずの慌ただしい登場である。

華織が現れると、場の空気が変わる感じがするのは、俺の気の所為だろうか。


「どうだったの!今日は!」


「あ、ああ!目標はクリアしたよ・・・!」


それを聞いた華織は、喜びをまぶたに浮かべ、

嬉しそうな顔をしていた。


「やっぱり、やれば出来るじゃんっ!」


こうも素直に喜んでくれると、俺もとても嬉しい気分になる。


「どうだった?杉山くんと話してみて」


そう言って華織は、期待を抱くような眼差しで、俺の目を見つめてきた。


「う、うん。優しかったよ。思ってたよりも、大丈夫だった」


「そっか」


俺の返事を聞いた華織は視線を地面に落とし、少しだけ、微笑んでいるようにも見えた。


「よし、じゃあ早速次の目標を決めようか!やる気のあるうちに!」


「あ、ああ・・・」


早速か・・・

まだまだ友達を沢山作る道のりは遠そうだ。


「3日後に、遠足があるのは知ってる?お台場に行くんだけど」


学校行事に全く興味が無い俺は、遠足がある事すら知らなかった。


遠足に行くのなら、きっとまた班を作る筈だ。

明日にでも決めるんだろう。

いや、教師が既に作っているかもしれない。


仮にこれが出席番号で決まるのなら、俺はまた杉山くんと一緒になれる。

そうなれば最高だが。


「じゃあその遠足の日のうちに、今度は女の子に話しかけてみようか」


ななな、なんだってぇ?!

じ、女子だと?!

俺が女子に話しかけるなんて、そんな事有り得るのか?

と、とてもだが、ビジョンが浮かばない。


「ま、まさかだけど、自分から・・・?」


「もちろん!」


ど、どうして、そう平然と答えられるんだ。

鬼か。この人は。

男子ならまだしも、女子は無理だ。

よく女子はトイレで陰口を言うと聞いたことがあるが、俺もそのネタにされるに決まってる・・・っ!


「や、やっぱり、拒否権は・・・」


「無いに決まってるじゃん?」


何を、へ?みたいな顔をしているんだ。

まったく、や、やれやれだぜ。


「じゃあ決まりね!3日後頑張って!その時また話聞いてあげるから!」


そう言い捨て、華織は去っていった。

や、やるしか無いのか・・・?


壮絶な自問自答に、俺はしばらく1人でベンチに座っていた。



**********

遂に、第一章完結です!

確実に物語は・・・進んでいるッ!



いやぁ・・・今回はだいぶ華織のSが出ましたねぇ・・・

これがまた堪らん・・・



では朝比奈くんを、引き続き宜しくお願いします!m(_ _)m


次回、 "第二章 遠足編" 突入!!

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