第38話 恋愛イベント終了と雪村の元カノ ~桜姫視点~
「……雪村は、燃料を投下しすぎだわ」
侍女衆を部屋から追い払い、俺は頭を抱えたまま、じとっと雪村を見上げた。
相変わらずこの
いや、これが普通の反応だよ。
まさか自分が小説の主人公にされているなんて思わないもんな。
俺は
「いっそ知っていた方が
「へえ。すごいですね」
雪村が素直に感心している。
これが侍女衆にバレただけで「公認されましたわ!」と
俺が
雪村がショックを受けないような説明を、脳内で
「でも物語を作るにはモデ……いや、知っている誰かを主人公に見立てて、それに想像を加える事があるらしいの。だからね、あまりおかしなことを話すと参考にされてしまうでしょう? くれぐれも気を付けてね」
「はい。しかし私は別に、面白い事など話せていませんよ」
そっちの「おかしい」じゃねーよ!
俺は頭を
雪村が心配そうに見ているが、お前のせいだぞ、朴念仁め。
*************** ***************
「とてもお疲れのように見えます。よくお休み下さい」
優しく俺を案じつつ、雪村は帰って行った。
げんなりして
「姫さまに写本をお渡しした侍女が喜んでおりましたわ。雪村に
もう伝わってんのか。いや、本は読んでないけどな、雪村。
「そういえば、兼継殿のお花を届けてくれた侍女はあきと言うのね? 雪村とは知り合いなの?」
中年侍女にしては珍しく、
「雪村があれでは知らないのも
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俺はそうとう驚いた顔をしたのだろう。
中年侍女が、言葉を選ぶように話し出す。
「安芸の父親は、
やばい、口に
「……そうですね、例えばこれは秋海棠といって花言葉は「恋の悩み」だとか」
花贈りについて説明していた雪村は、確かそう言っていた。
あの時も「誰かに
ゲーム会社ぁぁああ! メインヒーローに元カノ設定なんて
まずいぞ。何とかして雪村に「安芸」とやらを思い出させないと。
そして今からでもいい、花返せ。……「お
「姫さま。今の雪村は姫さまを一番大切に想っておりますよ。どうぞご安心なされませ」
白湯を飲んでるくせにまんじゅう
何だか俺、兼継に振られた
いや、俺は最初から雪村エンド狙いですよ? だから引きさがる訳にはいかないが、ちょっと気が
何年も返事を待っていたんだとしたら。
桜姫を連れ帰った雪村を『安芸』はどんな気持ちで見ていたんだろう。
雪村は秋海棠の花言葉を「恋の悩み」だと言っていたが、そんな悩ませ方は
こんな設定、ゲームでは無かったぞ。
そもそも『
どうなってんだ『カオス戦国』。
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