ー出会いー2

「……あ、ああ、はい! よろしくお願いします!!」


 春は少し考え事をしていたこともあってか一歩遅れて挨拶をしゴーの楽屋を出て行く。


 春にとって何年振りだろうか……一目見て恋をしてしまったのは……それが一目惚れという事だろう。


 春が楽屋に戻る途中の廊下でも春の頭からは今のゴーの笑顔はどうやら離れないようで歩いている間もこう心ここに在らずという事なんであろうか、ボッーとしながら廊下を歩いていたようだ。


 いやしかしこんなことで、今日、出演の番組にまともに出れるのだろうか。 今日の番組では司会のゴーとのトークがある。


 もしかしたら、まともに話が出来ないかもと思いながらも春は時間まで自分達に与えられた楽屋で待機をしているのだ。


 ZERO達に与えられた楽屋。 春以外の他の二人はいつものように楽しく会話をしているのだが春はその会話に入れない。 いやきっと話をしていても、やはり頭に出て来るのは今のゴーの笑顔しか考えられてないからのようだ。


 しかし考えれば考える程、頭から離そうとしても離れてくれないようで、こに楽屋に来てから何回も頭を振ってしまっていた春。


 全くもってどうしたらいいんだろうか。 本当に全くもって分かってないような春。


 だが時間というのは何をしていても過ぎてしまうもんだ。


 あっという間に番組の本番だと言ってくるスタッフ。


 今の春というのはスタッフに声を掛けられただけでも、目を丸くしてしまっていた。


 だが番組に出る事には慣れているのだから、そこに特に緊張はしていない。 今はそんなにテレビには出てないが人気があった頃には各局から引っ張りダコ状態だったのだから番組に出ることに関して春は緊張してないようなのだが、やはり先程一目惚れしたゴーがいるからであろう。


 もう自分には青春という時代は終わったかと思っていたのだが、どうやらまた再び青春というのが来てしまったみたいだ。 いや青春というのは何歳になったって来る。 その度に人間っていうのは胸を高鳴らせてしまうのだから。


 番組内でMCであるゴーにZEROのメンバーが紹介され舞台へと上がるのだ。

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