第5話 本人に教えられるわけがない。
この世界に転生してから数週間が経った。
ソフィアとの関係は順調に改善できていると言っても良いだろうと思う。
あの濁った何も映していない瞳から、段々と光が差し込み綺麗な青色の眼になってきているような気がするのだ。
肌も俺と初めた時とは比べ物にならないほど潤いが増していて、痛んでいた髪の毛も綺麗になって艶艶になっている。
まぁ、内心彼女がどう思っているのか全く分からないから油断は全然できない。
ゲーム内だと、主人公が他の女の子と喋っていても別にその場では何ともなくニコニコとしていたが、裏でその女の子を残虐に殺していたなんてことがあったからね。
あの時のソフィアも凄かったな。口元は歪になっているが目は何も映していなくて作業をするように腹を豪快に裂いて壁中が血だらけになってて.....うっ、少し気持ち悪い。
「お兄様、顔色が悪いですけれど大丈夫ですか?お休みになられた方が......」
「大丈夫だよ、ソフィア。少し立ち眩みがしただけだから問題ない」
「本当ですか?あまり無理をしないでください」
「ありがとうソフィア」
ソフィアが心配げな顔で俺の顔を見てくるので、大丈夫だよと返す。
ほら、こんなに心配げに俺の事を心配してくれているソフィアが今はあんなことなんてしないだろう。
多分......。
「お兄様、少し休憩しませんか?」
「.........うん。そうだね。勉強もかなりしたし」
ソフィアはやはり俺の事が心配なのかそう言ってくれるので、好意を無駄にするのも違うなと感じたので、勉強机から離れて、丸テーブルの方へと移動して座る。
今まで俺たちが何をしていたのかというと、ソフィアの勉強を俺が教えていたところだった。
勉強と言っても前世のようなものではなく、魔法についての物だ。
この世界は水魔法で腹を膨らませて爆発させるところからも分かる通り、魔法というものが存在している。
四大魔法というものが存在していて、火、水、風、土とこの四大魔法がメジャーである。そして、それを扱うのにも魔法適性というものが存在して水晶のようなもので適性を図る。
リアムはものすごい才能に恵まれていて、この四大属性すべてを扱うことが可能でありその適正力も高いため高難易度の魔法をいとも容易く扱える且つ初級魔法程度でも中級魔法程度くらいの威力で出せる。
本当にこいつは才能に恵まれすぎている。
対するソフィアはというと、水晶で計測しても淡い水色という結果でありどれだけ努力しても中級程度しか出すことはできないと言われている。
さて、そんなソフィアがゲーム内のリアムをどうやって殺すのか。
それは彼女が闇魔法に目覚めたからである。
闇魔法の覚醒条件として、一つ重大な条件がある。それは自身の心が深い闇に捕らわれていなければならない。それと、闇魔法の適性があるということ(そも闇魔法は元からそう言う性質を持っている人にしか適性はないため、ソフィアは元から病みやすい性格であると言うのは今は置いておこう)
その二つをクリアした時初めて闇魔法が覚醒し、扱えるようになる。
そのため、覚醒していなかったため水晶に映っていなかっただけで本当のソフィアは闇魔法、それと水魔法に適性があるということだ。
闇魔法を使ってどうリアムを殺したかと言うと、寝ている間に闇魔法である『真実の悪夢』を使い、自身の体を人並みサイズのはさみで切り刻まれるというものを見せる。
この魔法の厄介なところは自分ではその夢から抜け出せないことだ。
術者が死んでしまう、もしくは解除するか、外部から寝ている人を強く揺さぶるとかでもよいので何か刺激を与えれば起きることが可能である。
この魔法の怖いところは、悪夢を見ていた本人が死にたいと口にしてしまった場合本当に死んでしまう。
解除は割と簡単だが、強力である。
本当にリアムの腕とか足とかが切られるシーンは凄かったな。血がドバドバと出て内臓が飛び出して、指が床に散らばっていて.........
あくまで夢だからご自慢の魔法も一切効かなくて絶望していて最後には顔を輪切りにされて......
うっ、また気持ち悪くなってしまった。
でもあくまでこれは、ソフィアが闇魔法に覚醒したゲーム内での話。
これから先、ソフィアを甘やかし続けて決して闇魔法を覚醒なんかさせない。ソフィアのあの目を正気に戻すことが出来ればきっと俺が元の体に戻っても主人公がどうにかしてくれると思うから。
「お、お兄様。何か考え事をしていらっしゃるのですか?難しい顔をしています」
「ん?あぁ、うん。少しね」
「......そうですか。あまり無理を為さらないでくださいね」
「うん。ありがと。逆にソフィアは何か最近、考えてることというか悩みとかある?」
「悩みですか...........思いつきません」
数刻考えるが、何も思いつかないのか申し訳なさそうにそう言う。
「お兄様が私に対して良くしてくれているのでこれ以上何も望むことなんてないんです。本当にありがとうございます」
「そ、そっか。こちらこそそれが聞けてうれしいよ」
まっすぐにそんなことを言われてしまって照れてしまう。
「あぁでも一つだけ無理を言うならば.....」
「何かな?」
「わ、私など頼りないし烏滸がましいかもしれませんが、何かお兄様の力になれればと思います。お兄様からは沢山の物を貰っているので」
「それは今まで、ソフィアに酷いことをしていたからで......」
「それでもです」
「分かった。何かあればソフィアを頼ることにするよ」
「.....はい」
ソフィアは悲しそうな顔をした後頷いた。
ごめん、ソフィア。頼ってあげたいけれど絶対にソフィア本人には教えられないような事だから。
その後、ソフィアと少し話をしてからまた勉強を再開した。
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