猟奇サスペンスエロゲーヒロインの兄に転生した
かにくい
第1話 目覚め
「大好きです、あなたのことが心の底から大好きなんです。だからこそ許せないんです。こんなにも愛しているあなたが他の人に愛情を向けることが。私にはあなたしかいないのに、あなたにはほかに人がいることがどうしても許せないんです」
淡々とそう呟くソフィアの瞳は、もう何も映していなかった。
狂気が彼女を染めて、伝染していく。空間そのものが血みどろの真っ赤な空間のように感じる。
「やめろ、リーシェに何をする気だ、ソフィア!!」
「何をするんでしょうね?あ、そういえば私、前から気になっていたんです。人間ってどれだけ水を摂取できるのか」
そういった次の瞬間、リーシェの腹が少しずつ膨らみ始めている。
ソフィアが水魔法を発動させ、リーシェの体内を水で膨張させていく。彼女は狂気に顔を染め、口元を釣り上げてニヤッっと笑ってこちらを見る。
「ねぇ、大好きな彼女が死んじゃいますよ?お腹が破裂しちゃいますよ?いいんですか?私を救ってくれた時みたいに助けてはあげないのですか?」
「クッ!!」
ソフィアに魔力拘束具を付けられ縛られ、床に転がされているため動かそうと思っても芋虫のように這うことしか出来ない。
「うっあぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁ!!!!!!!イタイ!!イタイ!!イタイ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ、ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ、ムリ、ムリ死ぬ助けてタスケテーーーー!!!!!!!!!!!」
「リーシェ!!」
リーシェの絶叫が響き渡る。
顔は今にも死んでしまいそうなほど青ざめているが、助けを求めて僕のほうを一身に見ている。彼女の唯一の希望は僕なのだ。助けなければ、リーシェが死んでしまう!!
彼女の腹はもうはち切れんほどで、いつ破裂してもおかしくはなかった。だが、死ななければ助かる方法はある。だからその前に…
「あぁ、すっごく気持ちいいです。あなたのその顔。分かりますか?あなたが他の女と接している時私はずっとそんな気分でした。毎日毎日、あなたの事だけを思い続けているのに、あなたは私の気持ちなどお構いなし。あぁ、もう心が張り裂けそうでした。今の彼女のようにね。ふふっ。まだ、希望を持ち合わせている顔をしていますね。今から私と同じ気持ちを味合わせてあげますね」
「ヤメローーーーーー!!!!!!」
「では、さようなら」
ソフィアが水魔法の威力を一気に強め、はち切れんばかりの腹はさらに膨らみ顔までも膨張し、最後には破裂した。
臓物がボタボタと破れた腹から零れ落ちる。
床が真っ赤に染まっていく。
あれだけきれいだったリーシェの顔は膨張して膨らみきって原型が分からない。腸が崩れ落ちるように破れた腹から飛び出して、横たわった僕の顔に真っ赤な血が触れる。
何も考えられない、何も考えたくない。
僕は何を間違ったのだろう?
何をすればよかったのだろう?
「私を選べばよかったんですよ?」
そこで画面は暗転しタイトル画面へと移る。
「あぁ…やっとクリアし終わったぁ……」
にしても、グロすぎだろ。水魔法で腹膨張させて破裂させるとか、何食ったらこんなグロいの思いつくんだよ、シナリオライター。
あと絵に力入れすぎ。破裂して臓物が床に広がるシーンとか描写細かすぎるわ!!他にも数を数えれば切りが無いため詳細は省くがとにかくグロすぎ。
このゲームの名は『君と私の選択』というエロゲーで、魔法が存在する異世界を舞台として主人公が様々な魅力あるヒロインを攻略していくという至って普通のエロゲーに一見見える。が一つの選択をミスると、先ほどのように直ぐにヒロインが殺されてしまうゲームでもある。
主な理由として先ほど登場したソフィアというキャラが重要キャラであり、いわゆるヤンデレキャラというものだ。
見た目はかなりの美人さんで、白に近い金髪の長髪で背は160cm、胸は優にEカップを超えるほどの巨乳で目は元々は澄んだ水色をしているが、様々な理由で先ほどのような
彼女が主人公に傾倒して溺れてしまう理由も分からなくはないのだけれど、あまりにもほかのヒロインの殺し方が惨い。
ヒロインの一人を吸血ワームを体中に張り付かせて、吸わせ続けて殺したところなんて今でもトラウマものだ。
だけれど、このゲームはただのグロゲーではなく、各ヒロインのtrueルートに進めば泣ける話でもありかなり作りこまれている。
まぁそのtrueルートに進むためにはソフィアを見捨てるか殺すかの二択しかない。
ソフィアを殺さず、見捨てないとああいう惨劇がどのルートでも起こり、ヒロインが残酷に殺される。
ソフィアを推している身からすれば、ソフィアを見捨てるのも殺すのもどちらも嫌なので必然的に序盤はグロシーンを見続ける羽目になったものだ。
まぁ、でもやはり評価されているゲームなだけあって、かなりいいゲームだったな。
グロシーンもまぁ、好みが分かれると思うけれどあった方がいいと思えるくらいのものだったし。
さて明日も早いし寝ないと。
電気を消してベッドへと行き、眠りにつく。出来るだけ、腹が破裂したシーンのイラストを思い出さないようにしながら。
「ここは................?」
朝目覚めると全く知らないところだった。いや全く知らないわけではない。どこかで見たような気がする。
というかこんな服着て寝た記憶もないし、こんな貴族様様な豪華な天蓋付きベッドで寝た記憶もない。部屋もこんな趣味の悪いと言っては何だが、キラキラした高いものに囲まれてなんかいないはずだ。
ここは一体…そう思って窓から外を見ようとすると、窓に反射して移る自分の顔に驚く。
この顔って……
「リアム…?」
そう俺はソフィアにのちに殺されることとなる双子の兄であるリアムの顔になっていた。
どういうこと……?
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