第174話 神獣フェニクス様に会いに・・・1
ラッキー達のダンジョン攻略が始まった。ダンジョン攻略は何度もしてきたので作戦を立てて実行していくのはお手の物だ。
ラッキー達は、まずレベルを上げる為に適度に経験値を稼げる階までは魔物を倒すことよりも下に降りる事を優先した。地下1階の魔物と地下20階の魔物では倒した時に得られる経験値は大きく違う。
例えば、地下1階に現れるスライムを倒そうと思いラッキーが火魔法を使ったとする。レベル42のラッキーにとってレベル1のスライムへの攻撃はオーバーキルもいいとこである。同じ魔法を使って地下20階の魔物を倒したとして、魔力消費量に対する経験値の取得量がどれほど違うかわかるだろう。
魔力の関係から、このダンジョンでは朝から晩まで攻略する事はできない。このダンジョンにおいて気にするべきは時間ではなく、魔力量なのだ。魔力が半分になれば、戻るか先に進むかを決断しなければならない。決断を間違えば死ぬ事になる。
ラッキー達はそうならないように、なるべく魔力をつかわずに地下ダンジョンを進んで行く。
地下20階の転移魔法陣からスタートして、地下25階までの最短ルートをマッピング。
翌日、同じく地下20階からスタートして、地下30階までの最短ルートをマッピング。
翌日、最短ルートで地下30階に進みボスを倒す。
地下40階へも同様に行動した。魔力に余裕を持たせて、ひたすら先に進む事を優先したのだ。
「ようやく地下40階まで来たわね。それにしてもここに出てくる魔物って本当に物理が全然効かないのね。」
「スライムにレイス、ロック系もやっかいだね。でも魔法は基本的に弱点っぽいから普段以上に通じるのはありがたいな。」
「ラッキーの場合は火属性が通じない魔物が出て時に困るじゃない。魔法剣だって火属性メインだし。」
「そうですね。その時は魔法の杖を使えば問題はないと思いますが、やはり魔法の杖は魔力の消費が激しいのが問題ですね。」
「そうね。もしリルが魔法の杖を使えたらもっと効率はあがるんでしょうけど。」
『俺の爪も役にたってるんだぞー』
「そうだな。リルの魔力爪も魔物に通じるようになったし助かってるぞ。」
(リルの攻撃が通じるようになったのは大きいな。まだ魔力の調整が難しいからすぐに魔力切れになってしまうけど戦力なのは変わりない。後はガイアで手に入れた魔法を使える杖系が地味に使えないのが痛いな。手に入れた時はかなり有用だったけど、消費魔力量を考えるとな~。)
ガイア国のオーディールダンジョンでラッキー達は、火の杖や魔法の杖など、魔力を消費する事でだれでも魔法が使える武器を手に入れていた。だが、誰でも魔法が使える杖にも欠点があったのだ。魔力量を調整できないのだ。
例えば、火の杖から出るファイアーボールに魔力が10必要だとする。ラッキーは火魔法の素質を持っているので杖を持っていなくても火魔法を使う事ができる。魔法学園に通ってから魔力のコントロールを学んだラッキーは、消費魔力1で火魔法を使う事ができる。
魔力をコントロールする事で、杖の10倍の数の魔法が使えるのだ。この技術は地下ダンジョンでは必須の技術だった。ちなみにこのダンジョンに挑戦する冒険者や学生の中で、自動で魔法が発動する杖を持ち込んでいる者は全くいない。
大事なのは、魔力回復ポーションだ。この地下ダンジョンに現れる魔物はドロップアイテムを落とさない。落とさないとは、素材やアイテムを落とさないという意味だ。どういう事かというと、フランダル魔法国の魔法学園地下ダンジョンでは、魔物からは魔石しか手に入れる事ができないのだ。
他のダンジョンであるような帰還玉ももちろんドロップしない。ただ、魔石はフランダル魔法国にとっては必須のモノなので需要は高い。他の素材やアイテムがドロップしなくても魔石だけで生計は立てれるようになっていた。
だが、ダンジョンで魔物から食料やアイテムがドロップしなければそれを見越して準備する事ができなくなる。補充ができないので、使用したら減るばっかりだ。ラッキー達はマジックバッグを持っているのである程度多めに準備して持ち込む事ができるが、消費すれば購入してそろえなければならない。
魔石を売って、魔力ポーションを買ってとする事はできるが、使いすぎれば、魔石を売っても金額が足りなくなる。そのあたりも考えないとこのダンジョンは攻略できないのだ。
一番良いのは、魔力満タンからスタートして、魔力がなくなる前に転移魔法陣のあるボス部屋まで行きボスを倒す。を繰り返す事だ。それなら魔力回復ポーションを使わずに魔物の魔石を手に入れる事ができるので、お金は増えていくだろう。だが、理想通りにはいかないのが現実だった・・・
地下40階のボスであるブラッドゴースト倒したラッキー達は、ようやく半分まで来た事でダンジョン攻略が順調に進んでいる事に安堵し、明日からはレベル上げをして神獣フェニクスを目指すのだった。
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