第169話 ピンクフリードを手に入れろ!

魔法が使えなくなる薬を飲んでしまったミルキー。ランドルトという元グレイ教団員が学校の食堂の料理長という事がわかり、希望が見えたと思ったが、ランドルトにも治療する事はできなかった。ラッキー達いる部屋が重い空気に包まれていた。


(無理か・・・。ならやっぱりグレイ教団の拠点に行って治療薬を手に入れるしかないか・・・って、あっ!?そう言えば倉庫を発見したんだった。実物があればランドルトさんなら治療薬が作れるんじゃ・・・)


「ランドルトさん。もし現物があれば治療薬を作る事はできますか?」


「!?ラッキー君は現物を持っているのかい?」


「いえ、だけど、さっきの教団員が向かった倉庫は見つけたのでそこに現物がある可能性は高いと思います。ただ中には10人以上の人がいる気配がしたのですぐに手に入れる事はできないかもしれませんが・・・」


「そうだね。現物があれば成分を調べる事はできる。成分が分かれば治療薬を作れる可能性はあるね。」


「本当ですか!?」


「ああ。でも期待しないでね。本当にあの薬は僕が教団にいた頃から研究してたけどその時は完成形もまるでできていなかったんだ。それが完成してるって事は僕の知らない事も多くあると思うからね。」


(とりあえずシルフィー、マリア、リルと合流だな。状況を伝えて倉庫を襲撃だな。できれば倉庫に誰もいない時に、こそっと入って現物だけを抑えたい所だけど、そんなうまくはいかないよな。できるだけ少ない時に入って現物を抑えないと。)


「わかりました。仲間がいるので合流して倉庫を向かおうと思います。」


「わかったよ。気を付けてね。アイツらは危険だからね。それとミルキー君は僕と一緒に居てくれるかな。ミルキー君を調べたら何かわかるかもしれない。それに学園長にも知らせないといけないからね。」


「はい。ランドルトさん・・・よろしくお願いします。」


「ミルキー。俺が必ず現物を手に入れるし、治療薬も必ず手に入れる。だから悲観にならずに待ってろよ。」


「ありがとうラッキーさん。」


ミルキー、ランドルトと別れたラッキーは、早速シルフィードと合流して、学園で有った事を伝えた。シルフィードの方は特に何もなかったみたいでベンチに座って街の住民を観察してただけだった。手元には肉の串焼き、果物。とただただ買い食いしてただけだったようだ。


マリアとリルとの合流はまだ先だったので、それまでは交代で倉庫を見張った。ラッキーが見つけた倉庫はやはりグレイ教団の拠点の一つなのか、白に灰色に茶色に黒のローブ姿の人が出入りしていた。マリア達と合流するまでは手を出さず情報収集に努めた。


そして・・・


「ラッキー様。お待たせしました。」


「ああ。早速だけどこっちで進展があったんだ。マリア達の方も聞きたいから作戦会議と行こうか。」


ラッキーがグレイ教団が使ってる倉庫を見つけてから3日後、マリアとリルがフランダルに戻ってきたので全員で情報の共有を図った。


「私とリルちゃんの方は全く手掛かりがありませんでした。」


『怪しいヤツはいなかったんだぞー。』


「ええ。リルちゃんと毎日街の中をぐるぐる回ってみたんですが、何もありませんでした。ラッキー様の方は進展があったと言ってましたがまさか・・・見つけたんですか?」


「ええ。グレイ教団が、拠点の一つに使ってるであろう倉庫を見つけたわ。」


「ああ。だからマリア達を待ってたんだ。倉庫にはグレイ教団関係者が10名程いる。それに入口には護衛なのか冒険者が何名かいる。さすがにシルフィーと二人で突撃するのは危険だと思ってな。」


『戦闘なら俺にまかせるんだぞー。』


「ラッキー様。私とリルちゃんを足しても相手は10人以上なんですよね?それでも危険じゃないですか?」


「危険だけど、行かない訳にはいかないんだ。俺と同じ魔法剣の授業を受けてる学生が魔法が使えない薬の被害にあったんだ。学園の食堂の料理長が元グレイ教団らしいんだ。それでその料理長ランドルトさんっていうんだけど、ランドルトさんに現物の薬を持って行けば治療薬が作れるかもしれないからどうしても倉庫に行って魔法が使えない薬を手に入れたい。」


「ラッキー様・・・それなら倉庫から出てきた教団員を捕まえればいいんじゃないですか?その方がリスクが少ない気がします。」


(たしかにマリアの言う通りだな。だが出てきた教団員を何人か後をつけたが薬を出したり、誰かに渡したりする人はいなかった。もってない可能性もあるが、それは捕まえてから聞けばいいだけの話だ。倉庫に突入したとしても成功するかわからないなら、マリアの案の方が成功する確率も上がる・・・か。)


「それかラッキーのガチャスキルだね。もしかしたら良い素質が手に入るかもしれないよ。」


「いや、さすがにそれは都合がよすぎるだろ。」


「そっかな~。パンが出た時にも思ったけど、けっこう都合よく必要なモノが出るじゃん。だから今回も倉庫に侵入しやすい素質が出るんじゃないかな~って思って。」


「仮に出たとしても素質が出たからってすぐに使える訳じゃないからな。今回はマリアの案で行くのがいいだろ。教団員がピンクフリードを持ってればそれで解決するし。」


「ピンクフリード?」


「ああ。魔法が使えなくなる薬をピンクフリードって言うらしい。じゃあマリアの案で行こう。倉庫からでる教団員がいたら後をつけて人目のない所で気絶させよう。最悪、俺が背後から近づいて誰もいない所まで転移してもいいしな。」


「それが確実ね。ラッキーが教団員の背後に転移して、気絶させる。その後教団員をつれてここまで転移する。がいいんじゃない?」


「だな。わかった。なら早速行動開始だな。」


マリア達と合流したラッキーは情報のすり合わせを行い、ピンクフリードを入手する為行動を開始したのだった。








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